令和4年度税制改正では、成長と分配の好循環の実現に向けて、多様なステークホルダーに配慮した経営と積極的な賃上げを促す観点から賃上げに係る税制措置が抜本的に強化されるとともに、スタートアップと既存企業の協働によるオープンイノベーションを更に促進するための措置が講じられました。また、カーボンニュートラルの実現に向けた観点等を踏まえ、住宅ローン控除等が見直されました。加えて、景気回復に万全を期すため、土地に係る固定資産税等の負担調整措置について、激変緩和の観点から所要の措置が講じられました(令和4年度税制改正大綱より)。
法人会では、昨年9月に「令和4年度税制改正に関する提言」を取りまとめ、その後、政府・政党・地方自治体等に提言活動を積極的に行ってまいりました。今回の改正では、相続税・贈与税の納税猶予制度の特例承継計画の提出期限延長、中小企業向け税制措置の適用期限延長等、法人会の提言事項の一部が盛り込まれ、以下のとおり実現する運びとなりました。
[法人課税]
1.少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
法人会提言 改正の概要
  • 少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例措置については、損金算入額の上限(合計300万円)を撤廃し全額を損金算入とする。なお、それが直ちに困難な場合は、令和4年3月末日までとなっている特例措置の適用期限を延長する。
  • 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、対象資産から貸付け(主要な事業として行われるものを除く)の用に供した資産を除外した上で、その適用期限が2年延長されました。

 

2.交際費課税
法人会提言 改正の概要
  • 交際費課税の特例措置については、適用期限が令和4年3月末日までとなっていることから、その延長を求める。
  • 中小法人の交際費課税の特例措置(定額控除限度額800万円まで損金算入可)の適用期限が2年延長されました。
    また、交際費等のうち接待飲食費の50%までを損金算入できる特例措置(資本金の額等が100億円以下の大法人も適用可)についても、適用期限が2年延長されました(中小法人の交際費課税の特例措置との選択適用)。

 

[事業承継税制]
1.相続税、贈与税の納税猶予制度
法人会提言 改正の概要
  • 新型コロナの影響により事業承継の時期を延期せざるを得ないケースもあることから、特例承継計画の提出期限(令和5年3月末日)および特例措置の適用期限(令和9年12月末日)を延長すべきである。
  • 非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、特例承継計画の提出期限が1年延長(令和6年3月末日まで)されました。

 

[地方税]
1.固定資産税の抜本的見直し
法人会提言 改正の概要
  • 令和3年の全国の公示価格は、コロナの影響等により6年ぶりに下落した。こうした事態を受けて令和3年度税制改正においては、固定資産税の税額が増加する土地について前年度の課税標準額に据え置く措置が講じられた。令和4年度においてもコロナ禍の影響はまだ残るとみられており、令和3年度改正と同様の措置が必要である。さらに、都市計画税と合せて評価方法および課税方式を抜本的に見直すべきである。
  • 土地に係る固定資産税の負担調整措置について、令和4年度に限り、商業地等(負担水準が60%未満の土地に限る)に係る課税標準額の上昇幅を、評価額の2.5%(改正前: 5%)とする措置が講じられます(都市計画税についても同様)。

 

[その他]
1.地方のあり方
法人会提言 改正の概要
  • 地方創生では、さらなる税制上の施策による本社機能移転の促進、地元の特性に根差した技術の活用、地元大学との連携などによる技術集積づくりや人材育成等、実効性のある改革を大胆に行う必要がある。
  • 地方拠点強化税制の適用期限が2年延長されるとともに感染症の影響によるビジネス環境や企業動向の変化等を踏まえた適用要件の緩和等が行われました。

今回は、電子取引データの保存方法等について掲載いたしますので、事務の参者にお役立てください。

(注) 「電子取引」とは、取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいいます。また、取引情報とは、取引に関して交付・受領する注文書、契約書、送り状、領収書、見積雷その他これらに準する書類に通常記載される事項をいいます。

◆ 令和5年12月31日までに行う電子取引については、保存すべき電子データをプリントアウトして保存し、税務調査等の際に提示・提出できるようにしていれば差し支えありません(事前申請等は不要)。
◆令和6年1月からは、請求書・領収書・契約書・見積書などに関する電子データを送付・受領した場合には、その電子データを一定の要件を満たした形で保存することが必要ですので、そのために必要な準備をお願いします。
申告所得税・法人税に関して帳簿書類の保存義務がある全ての方にご対応いただく必要があります。

1 保存すべき電子データについて
『紙でやりとりしていた揚合に保存が必要な情報が含まれる電子データ』
(例)請求書、領収書、契約書、見積書など
※ 受け取った場合だけでなく、送った場合についても保存が必要です。
※ 例えば、電子メールの本文・添付ファイルで請求書に相当する情報をやりとりした場合や、WEB上でおこなった備品等の購入に関する領収書に相当する情報がサイト上でのみ表示される場合には、それぞれの電子データを保存する必要があります(PDFやスクリーンショットによる保存も可)。

2 保存方法について
(1)改ざん防止のための措置をとる
「タイムスタンプ付与」や「履歴が残るシステムでの授受・保存」といった方法以外にも「改ざん防止のための事務処理規程を定めて守る」でも構いません。
(2) 「日付・金額•取引先」で検索できるようにする
専用システムを導入していなくても、次の方法でも対応が可能です。
イ索引簿を作成する方法
口規則的なファイル名を設定する方法
※ 2期前の売上が1,000万円以下であって、税務調査の際にデータのダウンロードの求め(税務職員への提示等)に対応できる揚合には、検索機能の確保は不要です。
(3)ディスプレイ・プリンタ等を備え付ける

3 改ざん防止のための措置について
ジステム費用等をかけすに導入できる「改ざん防止のための事務処理規程」については、国税庁HPでサンプルを公表しています。
※ Wordファイルで公表していますので、ひな形としてご活用いただけます。

4 検索機能を確保する簡易な方法について
以下のいすれかの方法でも、検索機能を確保していることとなります。
(1)表計算ソフト等で索引簿を作成する方法
表計算ソフト等で索引簿を作成しておくことで、表計算ソフト等の機能を使って検索する方法です。
(2)規則的なファイル名を付す方法
データのファイル名に規則性をもって「日付・金額•取引先」を入力し、特定のフォルダに集約しておくことで、フォルダの検索機能が活用できるようにする方法です。

ご不明な点は、荒川税務署法人課税第1部門へお問い合わせください。
(荒川税務署 TEL :03-3893-0151)

 
 
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