平成28年度税制改正では、現下の経済情勢等を踏まえ、経済の好循環を確実なものとする観点から成長志向の法人税改革等が行われるとともに、消費税率引上げに伴う低所得者への配慮として消費税の軽減税率制度が導入されることとなりました。また、あわせて少子化対策や地方創生を推進するための税制措置等が講じられました。
法人会では、昨年9月に「平成28年度税制改正に関する提言」を取りまとめ、その後、政府・政党・地方自治体等に提言活動を積極的に行ってまいりました。今回の改正では、法人実効税率の引き下げなど法人会の提言事項の一部が盛り込まれ、以下のとおり実現する運びとなりました。

[法人課税]

1. 法人実効税率20%台の早期実現

法人会提言 改正の概要
 我が国の立地条件や国際競争力強化などの観点から、早期に欧州、アジア主要国並みの20%台の法人実効税率を実現する。 法人税率(現行 23.9%)が、平成28年度に 23.4%、平成30年度に23.2%に引き下げられます。また、法人事業税の税率が引き下げられ、外形標準課税が拡大されました。これにより、法人実効税率(現行 32.11%)は平成28年度に29.97%、平成30年度に29.74%に引き下げられます。

2. 少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

法人会提言 改正の概要
 少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例措置の適用期限が平成28年3月末までとなっていることから、直ちに本則化することが困難な場合は、適用期限を延長する。  中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、対象となる法人から常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人を除外した上で、その適用期限が2年延長されました。

3. 交際費課税の適用期限延長

法人会提言 改正の概要
 平成26年度税制改正において拡充された交際費課税の特例措置については、 適用期限が平成28年3月末までとなっていることから、その延長を求める。  接待飲食費に係る損金算入の特例及び中小法人に係る損金算入の特例の適用期限が2年延長されました。

4. 経済活性化と中小企業対策

法人会提言 改正の概要
 中小企業にはアベノミクス効果が十分に届いていないという現実も十分に認識する必要がある。地域経済と雇用を担う中小企業の力強い成長がなければ、日本経済の真の再生は望めず、 税制面からもさらなる対応が必要である。
 償却資産に対する固定資産税については、将来的には廃止も検討すべきである。
 地域の中小企業による設備投資の促進を図るため、中小企業者等が、新規取得した生産性向上に資する一定の機械及び装置を取得した場合、当該機械及び装置に係る固定資産税について、課税標準を最初の3年間は価格の2分の1とする措置が講じられました。

5. 地方のあり方

法人会提言 改正の概要
 地方創生では、さらなる税制上の施策による本社機能移転の促進、地元の特性に根差した技術の活用、地元大学との連携などによる技術集積づくりや人材育成等、実効性のある改革を大胆に行う必要がある。  地方拠点強化税制が拡充され、雇用者の数が増加した場合の税額控除制度(雇用促進税制)について、一定の調整措置を講じた上で所得拡大促進税制と重複して適用できるようになりました。

[復興支援のための税制上の措置]

1. 震災復興

法人会提言 改正の概要
・被災地における企業の定着、雇用確保を図る観点などから、実効性のある措置を講じるよう求める。  復興特区の税制について、一定の見直しを行いつつ、適用期限が5年延長されました。
その際、被災地の実情等を踏まえ、要件の一部が緩和されます。

 源泉部会の皆さまいかがお過ごしでしょうか。
 今号は税制改正による通勤手当の非課税限度額の引上げについてお知らせします。
 平成28年3月31日に所得税法施行令等の一部を改正する政令(平成28年政令145号)が公布され、通勤手当の非課税限度額が月額15万円(改正前:月額10万円)に引き上げられました。
 「あれ・・・通勤手当って平成26年度に改正があったのでは?」と疑問に思う方も多いかもしれません。平成26年度の改正は次ページの表のAの部分で、今回の改正は@BCの部分となりますのでご注意ください。
 なお、6月にはこの通勤手当の改正も含めた「源泉所得税改正のあらまし」を郵送する予定です。是非ご一読ください。

 
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