法人税率20%台への引き下げ、
消費税に軽減税率の導入盛り込まれる

政府は、平成27年12月24日に平成28年度税制改正大綱を閣議決定しました。
平成28年度には、法人実効税率が29.97%となり、成長志向の法人税改革が実現しつつあります。また、社会保障の充実・強化を実現するために、平成29年4月の消費税率10%への引き上げと同時に、低所得者への配慮として軽減税率を導入することが盛り込まれました。

法人税関係

■法人実効税率のさらなる引き下げ
昨年に引き続き、法人実効税率がさらに引き下げられます。法人税の税率が、平成28年4月1日以後に開始する事業年度については、現行の23.9%から23.4%に引き下げられ、さらに、平成30年4月1日以後開始する事業年度については、23.2%まで引き下げられます。地方税を含めた法人実効税率は平成28年度には、目標とされていた20%台に到達します。

■外形標準課税の拡大
大法人(資本金1億円超の法人)の外形標準課税については、所得割を縮小、資本割と付加価値の割合が増加します。なお、所得割が縮小されることにより、所得割に対する地方法人特別税率が引き上げられます。基本的には内訳の変更ですが、所得割の縮小に伴い、赤字法人に対する税負担が増すことになります。

■減価償却制度の見直し
平成28年4月1日以後に取得する建物附属設備及び構築物について、定率法を廃止し、定額法が採用されることになりました。なお、鉱業用の建物、建物附属設備及び構築物については、定額法又は生産高比例法の選択が認められます。

■欠損金の繰越控除制度の見直し
大法人(資本金1億円超の法人)の控除限度額について、平成27年度改正において、段階的に引き下げられることになっていましたが、その取扱について下記のとおり変更となりました。なお、中小法人等については、従来通り控除限度額の制限は適用されません。

・平成27年4月から平成28年3月までに
開始する事業年度 65% ⇒ 65%
・平成28年4月から平成29年3月までに
開始する事業年度 65% ⇒ 60%
・平成29年4月から平成30年3月までに
開始する事業年度 50% ⇒ 55%
・平成30年4月以後開始する事業年度
50% ⇒ 50%
また、繰越欠損金の繰越期間が現行の9年か
ら10年に延長される措置については、施行時
期が1年遅れ、平成30年4月以後に開始する
事業年度に生じた欠損金から適用されます。

■生産性向上設備投資促進税制の廃止
非常に多く利用されてきた生産性向上設備投資促進税制は、平成29年3月31日に取得された資産までで、制度が廃止されます。また、即時償却と税額控除率の上乗せ措置について、平成28年3月31日までとされている適用期限は延長しないこととされました。

■企業版ふるさと納税制度の創設
地方再生法の改正を前提として、青色申告法人が、平成32年3月31日までに、地方再生法の認定地域再生計画に記載された地方創生推進寄附活用事業に関連する寄付金を支出した場合に、法人税の5%を上限として一定の税額控除が受けられます。

所得税関係

■空き家に係る譲渡所得の特別控除制度
相続の開始の直前に被相続人の居住の用に供されていた一定の家屋及び、その敷地の用に供されていた土地等を、相続により取得した個人が、平成28年4月1日から平成31年12月31日までに、一定の要件で譲渡した場合には、居住用の財産の譲渡所得の3千万円の特別控除が適用されます。

■住宅の三世代同居改修工事等に係る特別控除制度
所有する居住用の家屋について一定の三世代同居改修工事を含む増改築をして、平成28年4月1日から平成31年6月30日までの間に、居住の用に供した場合に、ローン残高に応じた税額控除又は自己資金で増改築した場合の税額控除が適用されます。

■セルフメディケーション推進のための医療費控除の特例
健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行い、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、自己及び生計を一にする親族に係る一定のスイッチOTC医薬品の購入した場合に、その年中に支払った対価の額の合計額が1万2千円を超える時は、その超える部分の金額(上限8万8千円)について、その年分の総所得金額等から控除されます。
なお、一定の取組とは、特定健康検査、予防接種、定期健康診断、がん検診等であり、一定のスイッチOTC医薬品とは、要指導医薬品及び一般医薬品のうち、医療用から転用された医薬品です。


消費税関係

■消費税率の軽減税率制度の導入
消費税率の軽減税率制度が、平成29年4月1日から導入されます。軽減税率は、現行の消費税率と同じ8%であり、対象品目は下記の通りです。
@飲食料品(食品表示法に規定する食品で酒税法に規定する酒類を除きます。また、外食サービスは除きます。)
A定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞

■適格請求書(インボイス)保存方式の導入
平成33年4月1日から適格請求書保存方式が導入されます。仕入税額控除の要件として適格請求書の保存が必要となります。
適格請求書とは、適格請求書発行事業者の登録番号、適用税率、消費税額等の一定の事項が記載された請求書、納品書等の書類です。
適格請求書を交付するためには、適格請求書発行事業者の登録が必要で、平成31年4月1日から申請できます。なお、免税事業者は、適格請求書発行事業者として登録できません。
適格請求書を発行する必要がある場合は、課税事業者を選択して、適格請求書発行事業者の登録を行う必要があります。

■適格請求書等保存方式導入までの措置
課税仕入が軽減税率対象品目である場合は、帳簿にその旨を記載します。また、軽減税率対象品目に係る請求書には、軽減税率対象品目である旨と税率が異なるごとに合計した対価の額を記載する必要があります。


その他

■クレジットカード納付制度の創設
国税の納付手続きについて、クレジットカードによって納付することができるようになります。この場合に、クレジット会社が、委託を受けた日に納付があったものとみなして、延滞税、利子税が計算されます。なお、クレジットカードの利用手数料は、納税者の負担となります。

■マイナンバーの記載対象書類の見直し
マイナンバーを記載しなければならないこととされていた所得税の青色申告承認申請書、消費税簡易課税制度選択届出書、給与所得者の扶養親族申告書、退職所得申告書など多くの書類にマイナンバーの記載が不要となります。

■固定資産税の軽減措置
中小企業の生産性向上に関する法律の制定を前提に、平成31年3月31日までに、認定生産性向上計画に記載された生産性向上設備のうち一定の機械及び装置を取得した場合は、固定資産税の課税標準を最初の3年間は2分の1とする措置が講じられます。

源泉部会の皆さまいかがお過ごしでしょうか?
今月号は租税史料室のご案内です。

この租税史料室は国税庁税務大学校の中にあり、税に関する史料を公開しています
常設展示と特別展示があり、いずれも無料で見学することができます
ぜひ、お気軽にご利用ください。

租税史料室をご利用ください

国税庁税務大学校和光校舎の租税史料室では、税に関する貴重な歴史的資料(史料)を収集、保存及び展示している施設で、史料を広く一般の方々に公開(見学無料)しています。

租税史料室の展示は、税に関連する職業の方や、税を研究されている方はもとより、一般の方や学生にも興味を持っていただけるような内容となっており、どなたでも気軽に税の歴史に触れていただくことができます。

音声ガイド機器の貸し出しも行っており、音声ガイド(所要時間は約40分)を聴きながら見学することもできます。研究調査員による解説を受けながら見学をしていただくこともできますので、是非ご利用ください。

※団体見学を希望される場合は、事前にご連絡ください。
※展示していない所蔵史料の閲覧を希望される方は、租鋭史料室1階事務室で受付を行ってください。

【常設展示・特別展示のご案内】
○ 常設展示
「国税の歴史」をテーマに、明治時代の地券(土地の所有権と地租の納鋭義務
を示す証券)、大正時代の所得申告書にあった「税務署への希望」欄に寄せられ
た意見の紹介、昭和24年のシャウプ勧告書など時代を追って展示しています
平成27年7月に展示史料の入れ替えを行いました。
○ 特別展示
毎年テーマを決めて行う期間限定の展示で、平成27年度は「土地をめぐる税の歴史〜測量・地図とのかかわりあい〜」と題して、税(地租など)をめぐり作成された地図や当時の測量方法などを紹介しています。
(平成27年度の特別展示は平成27年10月1日から平成28年9月29日までです)

○税務大学校和光校舎 租税史料室へのアクセス方法等

■所在地:埼玉県和光市南2−3−7
(東武東上線和光市駅からバスで約10分)
(西武池袋線大泉学園駅からバスで約20分)

■ 開館時間:9時30分〜16時30分(ただし、閲覧申請は15時30分まで)
【入館無料】

■ 休館日:土・日曜日、祝日、年末年始、史料整理日及び特別整理期間
※ 史料整理日及び特別整理期間等は、事前に国税庁ホームページ
(税務大学校コーナー)にてお知らせします。

■ お問い合わせ先:税務大学校 税務情報センター(租税史料室)
電話番号:048−460−5300

 
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