令和3年度税制改正では、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現を図るため、企業のデジタルトランスフォーメーション及びカーボンニュートラルに向けた投資を促進する措置が創設されるとともに、こうした投資等を行う企業に対する繰越欠損金の控除上限の特例が設けられました。また、中小企業の経営資源の集約化による事業再構築等を促す措置が創設されました。
 法人会では、昨年9月に「令和3年度税制改正に関する提言」を取りまとめ、その後、政府・政党・ 地方自治体等に提言活動を積極的に行ってまいりました。 今回の改正では、中小法人向け税制措置の適用期限延長、土地に係る固定資産税の課税標準額が据え置かれるなど法人会の提言事項の一部が盛り込まれ、以下のとおり実現する運びとなりました。

[法人課税]
1.法人税率の軽減措置
法人会提言 改正の概要
  • 中小法人に適用される軽減税率の特例1 5%を本則化すべきである。 また、昭和56年以来、800万円以下に据え置かれている軽減税率の適用所得金額を、少なくとも1,600万円程度に引き上げる。なお、本制度は令和3年3月末日が適用期限となっていることから、直ちに本則化することが困難な場合は適用期限を延長する。
  • 中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の適用期限が2年延長されました。

 

2.中小企業投資促進税制
法人会提言 改正の概要
  • 中小企業投資促進税制については、対象設備を拡充したうえ、「中古設備」を含める。なお、それが直ちに困難な場合は、令和3年3月末日までとなっている特例措置の適用期限を延長する。
  • 中小企業投資促進税制に商業・サービス業・農林水産業活性化税制を整理・統合したうえで、適用期限が2年延長されました。

 

3.中小企業の設備投資支援措置
法人会提言 改正の概要
  • 「中小企業経営強化税制」、および令和元年度税制改正で創設された「中小企業防災・減災投資促進税制(中小企業強靱化法)」は、令和3年3月末日が適用期限となっていることから、適用期限を延長する。
  • 中小企業経営強化税制について、対象に経営資源集約化設備が追加されたうえで、2 年延長されました。
  • 中小企業防災・減災投資促進税制について、計画の認定期限が設けられるとともに、特別償却率の引き下げや対象資産の見直しが行われました。

 

[地方税]
1.固定資産税の抜本的見直し
法人会提言 改正の概要
  • 令和2年の全国の公示価格は5年連続で上昇し、地方圏においても、全用途平均、商業地が平成4年以来28年ぶりに上昇に転じるなど、地価は全国的に上昇傾向が広がりはじめた。令和3年度は評価替えの年度となるが、今般の新型コロナは企業に多大な影響を与えていることから、負担増とならないよう配慮すべきである。
  • 令和3年度に限り、税額が増加する宅地等(負担水準が商業地等は60%未満、それ以外は100%未満の土地に限る)及び農地(負担水準が100%未満の土地に限る)については、令和2年度の課税標準額と同額となります。

 

[その他]
1.新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置の延長等
法人会提言 改正の概要
  • 新型コロナウイルスの収束時期は不透明であることから、中小企業の厳しい経営実態等を見極めながら適用期限の延長や制度を拡充すること。
  • 新型コロナウイルス感染症によりその経営に影響を受けた事業者に対して行う特別貸付けに係る消費貸借契約書の印紙税の非課税措置の適用期限が令和4年3月31日まで延長されました。

 

2.少子化対策
法人会提言 改正の概要
  • 少子化対策では、現金給付より保育所や学童保育等を整備するなどの現物給付に重点を置くべきである。 その際、企業も積極的に子育て支援に関与できるよう、企業主導型保育事業のさらなる活用に向けて検討する。
  • 子ども・子育て支援法に基づく政府の補助を受けた者が一定の保育施設の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税の課税標準を減免する特例措置について、適用期限が2年延長されました。
 

 国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの税務上の取扱い及び税務署窓口における押印の取扱いについて掲載いたしますので、事務の参考にお役立てください。

1 個別指定による期限延長手続について

 これまで、個別指定による期限延長を申請する場合には、申告書の余白に所定の文言を記載していただく等の簡易な方法によって個別の期限延長の申請を認めていたところですが、令和3年4月16日以後に個別指定による期限延長を申請する場合は、期限までに申告・納付等することができないやむを得ない理由を具体的に確認する必要があるため、個々の状況を記載する欄がある「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を作成・提出していただくようお願いします。
上記の取扱いについては、申告所得税の他、法人税、消費税及び源泉所得税等についても同様となります。
具体的な方法等については、 国税庁ホームページ「個別指定による期限延長手続の具体的な方法」を参照してください。
 なお、期限までに申告等をすることができないやむを得ない理由の内容等について、税務署からお尋ねする揚合があります。

2 海外に出向していた従業員を一時帰国させた場合の取扱について
 非居住者である従業員が日本に一時帰国した場合であっても、この従業員は日本国内に住所等を有していないと認められるため、引き続き非居住者に該当します。また、この非居住者である従業員に対して内国法人から支払われる一時帰国している期間の給与、賞与及び留守宅手当等については、日本国内において行う勤務に基因する給与と認められるため、国内源泉所得として所得税の課税対象となります。
 詳しくは、 国税庁ホームページの「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」の5の問11-4をご覧ください。

3 税務署窓口における押印の取扱いについて
(1) 国税に関する法令に基づき税務署長等に提出される申告書等(税務関係書類)については、これまで提出者等の押印をしなければならないこととされていましたが、令和3年度税制改正により、令和3年4月1日以降、次に掲げるものを除いて、押印を要しないこととされました。
イ 担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類

口 相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類

(2) 代理の方が納税証明書の交付請求等をされる際に提出をお願いしている本人(委任者)からの委任状等についても、押印は必要ありません。
 ただし、実印の押印及び印鑑登録証明書等の添付などにより委任の事実を確認している特定個人情報の開示請求や閲覧申請手続については、引き 続き、委任状への押印等が必要となりますので、御留意ください。

(3) 令和3年4月1日以降の手続に際しては、以下の点に御留意ください。
イ 国税庁ホームページに掲載している申告書等の様式については、順次、押印襴の無い様式に更新しています。
 押印欄のある様式についても、引き続き印刷して御使用いただけますが、この場合も、上記(1)、(2)で引き続き押印を求めることとされている手続を除き、押印襴への押印は不要です(以下口においても同じ)。

口 税務署窓口にて備置き又は配布している様式については、当面の間、既に刷成済みの押印襴のある様式も使用しておりますので、御了承ください。

ハ 押印が不要である税務書類について、任意で押印していただいても差し支えありませんが、押印の有無によって効力に影響が生じるものではありません。

二 振替依頼書やダイレクト納付利用届出書については、金融機関からの求めに応じ、引き続き金融機関届出印(銀行印)の押印をお願いしています(e-Taxを利用して提出される場合は押印が不要です。)。

 

 

 
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