法人税関係

■デジタルトランスフォーメーション投資促進税制の創設
 青色申告法人が事業適応計画について産業競争力強化法の認定を受け、令和5年3月31日までに事業適応計画の実施のためのソフトウェア等の新設・増設などをした場合に、取得価額の30%の特別償却か取得価額の3%の税額控除が認められます。なお税額控除は、グループ外の事業者とデータ連携する場合には5%に引き上げられます。

■研究開発税制の見直し
  総額に係る税額控除制度については、税額控除率の下限を6%から2%に引き下げ、上限を10%から14%に引き上げられます。
 令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する事業年度のうち、基準年度に比較して売上が2%以上減少し、試験研究費が基準年度を超える場合に、控除税額について当期の法人税の5%が上乗せされます。

■所得拡大税制の見直し
 青色申告法人が令和3年4月1日から令和5年3月31日までに開始する各事業年度に、新規雇用者給与等支給額の新規雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が2%以上の場合、控除対象新規雇用者給与等支給額の15%を税額控除できる制度となります。なお、教育訓練費の増加割合が20%以上の場合は、控除対象新規雇用者給与支給額の20%まで税額控除が拡大されます。
 中小企業向け所得拡大税制は、増加割合1.5%の判定を、継続雇用者給与等支給額の比較から、雇用者給与等支給額での比較へと変更します。また、税額控除率25%になるか否かの判定についても、継続雇用者給与等支給額の比較から、雇用者給与等支給額で比較して増加割合が2.5%以上か否かの判定を行います。

■繰越欠損金の控除上限の特例の創設
 青色申告法人が産業競争力強化法の事業適応計 画の認定を受け、事業適応計画に従って事業適応を 実施する者の適用事業年度に、令和2年4月1日から 令和3年4月1日を含む事業年に生じた欠損金があ る場合には、欠損金の繰越控除前の所得の金額の範 囲内で損金算入できることになります。

■株式を対価とするM&Aの促進
 会社法の株式交付により、その有する株式を譲渡 し、株式交付親会社の株式の交付を受けた場合は、 その譲渡した株式の譲渡損益を繰り延べることとし ます。

■カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の創設
 青色申告法人が産業競争力強化法の中長期環境 適応計画について認定を受け、令和6年3月31日ま でに、その計画に記載された中長期環境適応生産性 向上設備(仮称)又は中長期環境適応需要開拓製品 生産設備(仮称)を取得した場合に、取得価額の50% の特別償却、あるいは取得価額の5%の税額控除を 選択適用できます。なお、税額控除については、温室 効果ガスの削減に著しく資するものにあたっては 10%に控除額が拡大されます。

■中小企業向け税制
  中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の適用期限は2年延長されます。
 中小企業投資促進税制について、@不動産業、A物品賃貸業、B料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これに類する事業(生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る。)を指定事業に加えて、適用期限が2年間延長されます。

所得税・住民税関係

■住宅ローン減税に関する特例措置
  住宅ローン減税について13年間利用できる特例が、令和3年1月1日から令和4年12月31日までに居住の用に供した場合まで延長されることになりました。
 住宅の床面積が40u以上50u未満の住宅についても、住宅ローン減税の特例が利用できるようになります。ただし、13年間の控除期間のうち、合計所得金額が1,000万円を超える年については、適用されません。

■同族会社が発行した社債の利子
 同族会社が発行した社債の利子・償還金について、 法人と特殊の関係のある個人及び親族が受け取る 場合は、総合課税の対象となり累進税率が適用され ます。令和3年4月1日以後に受け取るものから適用 になります。

■短期退職手当等
 退職手当のうち、勤続年数が5年以下である者が 受けるもので、特定役員退職手当に該当しないもの を短期退職手当等とし、収入金額から退職所得控除 額を控除して300万円を超える部分には、退職所得 の計算の際に2分の1とする措置を適用しないことに なります。令和4年分から適用されます。

■子育て助成の非課税
 本国又は地方公共団体が行う保育その他の子育て に対する助成について、非課税とします。

消費税関係

■課税売上割合に準ずる割合の承認申請
 課税売上割合に準ずる割合の承認申請について、 課税期間の末日までに提出して、1ヶ月以内で承認 を受けることで、提出した課税期間から課税売上割 合に準ずる割合が利用できます。

■電気ガス供給施設利用権の範囲
 調整対象固定資産である電気ガス供給施設利用 権の範囲に、電気事業法の配電業者に対して電気供 給施設を設けるために要する費用を負担して、電気 供給施設を利用して電気の供給を受ける権利が加 えられます。

■産後ケア事業は非課税
 母子健康法の改正により創設される産後ケア事 業は、社会福祉事業に類するものとして非課税とな ります。

■20万円以下の国際郵便による輸出
 20万円以下の国際郵便で輸出をした場合に、輸 出免税の適用を受けるためには、輸出したことを証 明する書類として、日本郵便株式会社より交付を受 けた郵便物の引受証及び発送伝票の控えの保存が 必要となります。令和3年10月1日以後に行われる 資産の譲渡等について適用されます。

相続税・贈与税

■国際金融都市に向けた税制上の措置
 国内に短期的に居住する在留資格を有する者、国 外に居住する外国人等が、相続開始の時又は贈与の 時において国内に居住する在留資格を有する者から、 相続・贈与により取得する国外財産には相続税又は 贈与税を課さないこととします。

■住宅取得資金の贈与
 直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合 の非課税措置について、令和3年4月1日から令和3 年12月31日までに契約した場合は、現行と同額で 据え置かれます。

省エネ・バリアフリー住宅 消費税率10% 1,500万円
省エネ・バリアフリー住宅 消費税率8%以下 1,500万円
上記以外の住宅 消費税率10% 1,000万円
上記以外の住宅 消費税率8%以下 500万円
受贈者が贈与を受けた年の合計所得金額が1,000万円以下の場合には、面積要件が緩和され40u以上となります。

■教育資金の一括贈与制度
 教育資金の一括贈与について、贈与者死亡時に残額がある場合に、相続税の対象となります。ただし、受贈者が、@23歳未満である場合、A学校等に在学している場合、B教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合は、相続税の対象となりません。
 なお、受贈者が孫・ひ孫の場合は2割加算の対象とされます。

■結婚・子育て資金の一括贈与制度
  受贈者が孫・ひ孫の場合に2割加算の対象としま す。受贈者の年齢制限は、20歳以上から18歳以上に 引き下げられます。

その他

■税務関係書類の押印義務の見直し
 納税者の押印が必要とされてきた税務関係書類 について、基本的に押印不要となります。押印が必 要なものは、@担保提供関係書類及び物納手続関 係書類で、実印の押印と印鑑証明書の添付を求めて いる書類、A相続税及び贈与税の特例で、財産の分 割協議に関する書類だけとなります。

■電磁的記録等による保存制度の見直し
 承認制度を廃止して、正規の簿記の原則に従って記録されていれば紙への印刷は不要で、電子データのまま保管することが可能となります。令和4年1月1日以後の関係帳簿から適用されます。
 訂正等履歴要件及び相互関連性要件など、従来の要件を満たす優良な電磁的記録等の保存を行う旨の届出を提出することで、過少申告加算税が5%軽減されます。令和4年1月1日以後に申告期限が到来するものから適用されます。

■スキャナ保存制度
 承認制度を廃止して、要件が大幅に緩和されます。会計システムにおいて訂正削除履歴が残る場合は、タイムスタンプも不要となり、2ヶ月以内に入力することが求められます。書類への自署、相互けん制などの適正事務処理要件なども廃止されます。令和4年1月1日以後に保存する書類に適用されます。

■定資産税
 令和3年度は、固定資産税の評価替えの年となり ますが、土地について、固定資産税の税額が増加す る場合には、前年度の税額に据え置く特別な措置が 講じられます。なお、評価額が下がった場合は、通常 通り減額となります。コロナ禍による対応となります。

☆記事内容についてのお問合せは…
 TSK税理士法人
  税理士 飯田 聡一郎
  T E L: 03-5363-5958
  FAX: 03-5363-5449
  HP: http://www.iida-office.jp/

令和2年12月21日に閣議決定された「令和3年度税制改正の大綱」における個人所得課税及び納税環境整備に関する主な改正事項を抜粋いたしました。 法案成立前の内容であることにご留意いただいた上で、今後の事務の参考にお役立てください。
(財務省ホームページ「令和3年度税制改正(案)のポイント」より)

1 退職所得課税の適正化(案)

 現状の退職給付の実態を踏まえ、勤続年数5年以下の法人役員等以外の退職金についても、雇用の流動性等に配慮しながら、退職所得控除額を控除した残額のうち300万円を超える部分について、2分の1課税の平準化措置の適用から除外することとします。

2 税務関係書類における押印義務の見直し(案)

 政府全体の行政手続における押印義務の見直しの方針を踏まえ、税務署長等に提出する税務関係書類において、実印及び印鑑証明書を求めている手続等を除き、押印義務を廃止します。

◆申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限は、令和3年4月15日(木)まで延長されました。
◆新型コロナウイルス感染症の感染リスクを軽減するため、ご自宅から申告できるe-Taxをぜひご利用ください。
 なお、相談はチャットポットやお電話でも可能です。
◆確定申告会場の混雑緩和を図るため、確定申告会場への入場には、入場できる時間枠が指定された「入場整理券」が必要となります。
◆入場整理券の配付方法は次の2通りです。
 1 確定申告会場で当日配布
  「入場整理券」は当日各会場で配布します。全て配付した場合など配付状況に応じて、後日の来場をお願いする場合があります。
 2 オンライン (LINE) で事前発行
  国税庁LINE公式アカウントからオンラインで事前取得できます。詳しくは、国税庁HPをご覧ください。

■2021
第151号 令和3年1月
■2020
第150号 令和2年11月
第149号 令和2年9月
第148号 令和2年7月
第147号 令和2年5月
第146号 令和2年3月
第145号 令和2年1月
■2019
第144号 令和元年11月
第143号 令和元年9月
第142号 令和元年7月
第141号 令和元年5月
第140号 平成31年3月
第139号 平成31年1月
■2018
第138号 平成30年11月
第137号 平成30年9月
第136号 平成30年7月
第135号 平成30年5月
第134号 平成30年3月
第133号 平成30年1月
■2017
第132号 平成29年11月
第131号 平成29年9月
第130号 平成29年7月
第129号 平成29年5月
第128号 平成29年3月
第127号 平成29年1月
■2016
第126号 平成28年11月
第125号 平成28年9月
第124号 平成28年7月
第123号 平成28年5月
第122号 平成28年3月
第121号 平成28年1月
■2015
第120号 平成27年11月
第119号 平成27年9月
第118号 平成27年7月
第117号 平成27年5月
第116号 平成27年3月
第115号 平成27年1月
■2014
第114号 平成26年11月
第113号 平成26年9月
第112号 平成26年7月
第111号 平成26年5月
第111号 平成26年3月
第110号 平成26年1月
■2013
第109号 平成25年11月
第108号 平成25年9月
第107号 平成25年7月
第106号 平成25年5月
第105号 平成25年3月
第104号 平成25年1月
■2012
第103号 平成24年11月
第102号 平成24年9月
第100号 平成24年5月
第99号 平成24年3月
第98号 平成24年1月


 
 
2009 Arakawa Hojinkai Gensenbukai All Rights Reserved.