法人税率の引き下げ 盛り込まれる!

法人会の改正要望実現へ

 政府は、平成27年1月14日に平成27年度税制改正大綱を閣議決定しました。
 法人税率の引き下げをはじめ、課税ベースの拡大等により、法人課税を成長指向型構造に変え、企業の競争力を高め景気回復を後押しするという方向性を前面に出しているところが特徴と言えます。
 主な内容をお知らせします。

法人税関係

■法人税率の引き下げ
法人税の税率が、現行の25.5%から23.9%に引き下げられます。これにより法人実効税率は現行の34.62%から32.11%(東京に所在する法人の実効税率は35.64%から33.10%)になります。平成27年4月1日以後開始する事業年度から適用されます。

■中小法人の軽減税率の特例の延長
中小法人の軽減税率の特例の適用期限が平成28年度末まで2年延長されます。

■商業・サービス業・農林水産業活性化税制の延長
商業・サービス業・農林水産業を営む中小企業者が経営改善設備を取得した場合に、取得価格の30%特別償却又は7%税額控除ができるもので、その適用期限が平成28年度末まで2年延長されます。

■欠損金の繰越控除制度の見直し
大法人(資本金1億円超の法人)の控除限度について現行の80%から次のとおり段階的に引き下げられます。なお、中小法人等については、従来通り控除限度額の制限は適用されません。 
・平成27年4月1日から平成29年3月31日までに開始する事業年度65%
・平成29年4月1日以後開始する事業年度50%
また、繰越欠損金の繰越期間が現行の9年から10年に延長されます。平成29年4月1日以後に開始する事業年度に生じた欠損金から適用されます。

■受取配当金の益金不算入制度の見直し
保有割合の高い支配目的の株式の受取配当金については、100%益金不算入としつつ保有割合が現行の25%から1/3超に引き上げられます。
保有割合5%以下の株式は非支配目的の保有として、受取配当金の益金不算入割合が50%から20%に引き下げられます。

■所得拡大税制の見直し
雇用者給与等支給増加割合の要件について、中小企業者であれば平成28年4月1日以後開始する適用年度から5%以上が3%以上に、中小企業者以外は平成28年4月1日から平成29年3月31日までに開始する事業年度から5%以上が4%以上に緩和されます。

■外形標準課税の拡大
大法人の法人事業税のうち1/4に導入されている外形標準課税が2年間で1/2に拡大され、これにあわせて所得割の税率が引き下げられます。
平成27年4月1日以降開始事業年度と、平成28年4月1日以降開始事業年度と段階的に実施されます。

 
 源泉部会の皆さまいかがお過ごしでしょうか? 3月号は「源泉所得税及び復興特別所得税の年末調整過納額の還付請求」手続についてです。
年末調整により生じた過納額を給与等の受給者に還付する手続なのですが、「残過(ざんか)の手続」と言ったほうがピンとくる方が多いかもしれません。
どのような手続なのか見ていきましょう。

概要
 給与等の支払者が、年末調整により生じた過納額を給与等の受給者に還付する場合で、給与等の支払者に次に掲げる事由が生じたときに、その過納額について、給与等の受給者が給与等の支払者の所轄税務署から還付を受けるために行う手続です。

(1)解散、休業等の事由により給与等の支払者でなくなったこと、又は徴収すべき税額がなくなったことにより、その過納額の全部又は一部を還付することができなくなった場合。
(2)過納額を還付すべきこととなった日の属する月の翌月1日から起算して2月を経過してもなお還付すべき過納額が残っている場合。

(注)過納額を還付すべきこととなった日の現況において、翌月1日から起算して2月を経過する日までの間に給与等の支払者において過納額の全額を還付することが困難であると認められるときは、当該2月を経過する目前においてもこの手続を行うことができます。

手続き対象者
 前ページ概要の(1)又は(2)に掲げる事由が生じたため、所轄税務署から過納額の還付を受けようとする給与等の支払者

提出時期
 特に定められていませんが、前ページ概要の(1)又は(2)に掲げる事由が生じた日から5年間の間に提出しないと、時効により請求権が消滅します。

提出方法
 「請求書(兼残存追納額明細書)」、「国税還付金支払内訳書」及び給与等の支払者が年末調整により過納額が生じた給与等の受給者各人から過納額の請求及び受領の権限の委任を受けている旨の「委任状」を作成し、添付書類とともに、提出先に持参又は送付してください。

添付書類・部数
 年末調整により過納額が生じた給与等の受給者各人ごとの給与所得の源泉徴収簿(過納額が生じた年分と過納額を還付する年との2年分)の写し1部
(注)この還付請求書に記載された事項その他還付の適否を判断するために必要な事項については、別に説明資料を求めることがあります。

所得税関係

■NISAの拡充
 ジュニアNISAが創設されます。これにより未成年者でも口座開設できることになりました(年間投資上限額は80万円)。平成28年以降利用できるようなります。
 また、現行NISAの年間投資上限額が、平成28年から年間120万円(現行100万円)に引上げられます。

■国外転出をする場合の譲渡所得の特例の創設
海外へ移住する際に、有価証券等を有する場合、その含み益について課税する仕組みで、含み益が1億円以上ある場合に適用され、富裕層の国外転出対策と位置付けられます。なお、含み益のある有価証券等が、贈与・相続等により非居住者に移転した場合にも、含み益について課税されます。平成27年7月1日以後の国外転出、贈与・相続等について適用されます。

■国外に扶養親族がいる場合の取扱い
日本国外に居住する親族に係る扶養控除等の書類の添付等が義務化されます。年末調整や源泉徴収、確定申告の際に、親族関係書類及び送金関係書類の添付または提示が必要となります。
平成28年分の所得税から適用されます。

■ふるさと納税の拡充
地方創生を推進するため、個人住民税の特例控除額の上限を1割から2割に引上げ、確定申告が不要な「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が創設されます。住民税の控除限度額の引き上げは平成28年度分以後の住民税に適用されます。

 
相続税・贈与税関係

■事業承継税制の拡充
 贈与税の納税猶予制度の適用を受けている者(2代目)が、3代目に対する再贈与を行なう場合に、贈与税の納税義務が免除されます。

■住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の延長・拡充
直系尊属からの住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、適用期限が平成31年6月末まで延長され、消費税が10%に引き上げられてからの住宅取得であれば、最大で3,000万円までが非課税となります。

■結婚・子育て資金の一括贈与に係る非課税措置の創設
20歳以上50歳未満の個人の結婚・子育て資金の支払いに充てるために、直系尊属が金銭等を拠出して金融機関に信託した場合に、一人につき1,000万円(結婚は300万円)までは贈与税が非課税となります。平成27年4月1日以降の贈与に適用されます。

■教育資金の一括贈与制度の延長・拡充
直系尊属からの教育資金の一括贈与制度について、その適用期限が平成31年3月31日まで延長され、特例の対象となる教育資金の使途の範囲に、通勤定期代、留学渡航費が加えられます。

 
消費税関係

■消費税率10%への引き上げ時期の変更等
 消費税率10%への引き上げが平成27年10月1日から平成29年4月1日へ変更されることになりました。それに伴い、転嫁対策措置法も平成30年9月30日まで延長されます。

■外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充
外国人旅行者向けの輸出物品販売場の免税手続について、免税手続カウンターを設置する事業者に代行させることが可能となります。また、外航クルーズ船が寄港した際に、臨時販売場を輸出物品販売場とみなす制度が設けられます。
いずれも、平成27年4月1日以降適用されます。

■国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税の見直し
国外事業者が国境を越えて行なう電子書籍・音楽・広告の配信等の電子商取引が消費税の課税対象となります。平成27年10月1日から適用されます。

 
 
■2015
第115号 平成27年1月
■2014
第114号 平成26年11月
第113号 平成26年9月
第112号 平成26年7月
第111号 平成26年5月
第111号 平成26年3月
第110号 平成26年1月
■2013
第109号 平成25年11月
第108号 平成25年9月
第107号 平成25年7月
第106号 平成25年5月
第105号 平成25年3月
第104号 平成25年1月
■2012
第103号 平成24年11月
第102号 平成24年9月
第100号 平成24年5月
第99号 平成24年3月
第98号 平成24年1月
■2011
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第95号 平成23年7月
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