法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項!

 平成29年度税制改正では、我が国経済の成長力の底上げのため、就業調整を意識しなくて済む仕組みを構築する観点から配偶者控除・配偶者特別控除の見直しが行われるとともに、経済の好循環を促す観点から研究開発税制及び所得拡大促進税制の見直しや中小企業向け設備投資促進税制の拡充等が行われました。
 法人会では、昨年9月に「平成29年度税制改正に関する提言」を取りまとめ、その後、政府・政党・地方自治体等に提言活動を積極的に行ってまいりました。今回の改正では、中小法人向け税制や事業承継に関する税制の見直しなど法人会の提言事項の一部が盛り込まれ、以下のとおり実現する運びとなりました。

[法人課税]
1.中小法人に適用される軽減税率の特例

法人会提言 改正の概要
 中小法人に適用される軽減税率の特例15%を時限措置(平成29年3月31日まで)ではなく、本則化する。なお、直ちに本則化することが困難な場合は、適用期限を延長する。また、昭和56年以来、800万円以下に据え置かれている軽減税率の適用所得金額を、少なくとも1,600万円程度に引き上げる。
 中小企業者等に係る軽減税率の特例の適用期限が2年延長されました。

2.中小企業投資促進税制

法人会提言 改正の概要
 中小企業投資促進税制については、対象設備を拡充したうえ、「中古設備」を含める。なお、適用期限が平成29年3月31日までとなっていることから、直ちに本則化することが困難な場合は、適用期限を延長する。
 中小企業投資促進税制の上乗せ措置(生産性向上設備等に係る即時償却等)については、「中小企業経営強化税制」として改組され、これまでの上乗せ措置において対象外であった器具備品・建物附属設備が対象に追加されました。中小企業投資促進税制については、適用期限が2年延長されました(対象資産から器具備品を除外)。

3.地方のあり方

法人会提言 改正の概要
 地域経済と雇用の担い手である中小企業には、依然としてアベノミクス効果が浸透していないとの声が多い。相乗効果が期待された地方創生との関連でも、その成果を目に見える形で、示していくべき。
 償却資産に対する固定資産税については、将来的には廃止も検討すべきである。
 地方創生では、さらなる税制上の施策による本社機能移転の促進、地元の特性に根差した技術の活用、地元大学との連携などによる技術集積づくりや人材育成等、実効性のある改革を大胆に行う必要がある。
 中小事業者等が取得する一定の機械・装置に係る固定資産税の課税標準の特例(課税標準を最初の3年間は価格の2分の1とする)措置については、地域・業種を限定した上で、その対象に一定の工具、器具・備品等が追加されました。
 地方拠点強化税制については、雇用者の数が増加した場合の税額控除制度 (雇用促進税制)について、無期・フルタイムの新規雇用に対する税額控除額が引き上げられる等の拡充措置が講じられました。

[事業承継税制]
1.相続税、贈与税の納税猶予制度について要件緩和と充実

法人会提言 改正の概要
 本格的な事業承継税制が創設されるまでの間は、相続税、贈与税の納税猶予制度について要件緩和と充実を図ることを求める。
 非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度については、災害や主要取引先の倒産等により売上高が大幅に減少した一定の会社について、雇用確保要件が緩和されました。

2.取引相場のない株式の評価の見直し

法人会提言 改正の概要
  円滑な事業承継に資する観点から、比較対象となる上場株式の株価のあり方や比準要素のあり方を見直すことが必要である。
 取引相場のない株式の評価(類似業種比準方式)については、配当、利益、簿価純資産の比重を1 : 1 : 1 (改正前1 : 3 : 1)とするなど株式の算出方法の見直しが行われました。

[その他]
1.震災復興

法人会提言 改正の概要
 今後も大規模な災害が発生すると予想されていることから、「大規模自然災害を想定した税制」の整備について検討することも必要である。
 これまで災害ごとに特別立法で手当てしてきた対応を常設化し、災害対応の税制基盤が整備されました。

平成29年度の税制改正等により、源泉所得税関係について改正が行われました。今回は一部抜粋してお知らせいたします。

  1. 「給与支払事務所等の移転届出書」について、移転後の給与支払事務所等の所在地の所轄税務署長への提出が不要とされました。
     この改正は、平成29年4月1日以後の給与支払事務所等の移転について適用されます。
     改正により、移転後の給与支払事務所等の所在地の所轄税務署長への提出が不要とされました。このため、平成 29年4月1日以後の移転に係る当該届出書については、移転前の給与支払事務所等の所在地の所轄税務署長へのみ提出すればよいこととなります。
  2. 財産形成非課税住宅(年金)貯蓄申告書を提出した個人につき災害等の事由が生じた日から同日以後1年を経過する日までの間に、 当該災害等の事由が生じたことにより当該個人が勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄の払出しを行う場合には、一定の要件の下、その払出しをした日に支払われる当該勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄に係る利子等に対する課税及び同日前5年内に支払われた当該勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄に係る利子等に対する遡及課税を行わないこととされました。
     この改正は、平成29年4月1日以後に行う勤労者財産形成住宅(年金)の貯蓄の払出しについて適用されます。
     財産形成非課税住宅(年金)貯蓄申告書を提出した個人につき、次の(1)から(5)に掲げる事由(以下「災害等の事由」といいます。)が生じた日から同日以後1年を経過する日までの間に、当該災害等の事由が生じたことにより当該個人が勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄(以下「財形非課税貯蓄」といいます。)の払出しを行う場合(当該災害等の事由が生じたことによりその払出しを行うことについて所轄税務署長の確認を受けたときに限ります。)には、その払出しをした日に支払われる利子等に対する課税及び同日前5年内に支払われた利子等に対する遡及課税を行わないこととされました。
    (1) 当該個人が居住の用に供している家屋であってその者又はその者と生計を一にする親族が所有しているものについて、災害により全壊、流失、半壊、床上浸水その他これらに準ずる損害を受けたこと。
    (2) 当該個人が医療費を支払った場合において、その者又はその支払の時においてその者と生計を一にする親族のためにその年中に支払った当該医療費の金額の合計額が200万円を超えたこと。
    (3) 当該個人が配偶者と死別等をし、所得税法に規定する一定の寡婦又は寡夫に該当することとなったこと。
    (4) 当該個人が特別障害者に該当することとなったこと。
    (5) 当該個人が雇用保険法に規定する特定受給資格者又は特定理由離職者に該当することとなったこと。
     なお、平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に財形非課税貯蓄の払出しを行った際に、当該財形非課税貯蓄に係る利子等について徴収された所得税の額がある場合に、その払出しが災害等の事由によるものであるときは、当該払出しを行った当該個人は、平成30年3月31日までに、納税地の所轄税務署長に対し、その徴収された所得税の額の還付を請求することができることとされました。
税の歴史クイズ 《税務大学校HPより》

【問】 鉄道は明治5年の開業以来、今日でも私たちの生活を支える重要な交通手段です。その鉄道に関する税として平成元年まで通行税がありました。
 通行税は明治38年に創設されましたが、その時の税額を決める基準として、乗車距離のほかにもう一つ項目を設けていました。
 その項目とは次のうちどれでしょうか。

@ 手荷物の重さ A 乗車する座席の等級 B 指定席券の有無


*答えは、欄外に記載しています。

【答え】 A 乗車する座席の等級

 明治38年に創設された当初の通行税は距離と等級双方に基づき税額を決めていました。鉄道の場合は「50マイル未満」、「100マイル未満」、「200マイル未満」及び「200マイル以上」の距離ごとと1等、 2等及び3等の座席等級ごとで区分されていました。

 
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