平成31年度税制改正では、消費税率の引上げに際し、需要変動の平準化等の観点から、住宅に対する税制上の支援策が講じられるとともに、車体課税について、地方の安定的な財源を確保しつつ大幅な見直しが行われました。さらに、デフレ脱却と経済再生を確実なものとするため、研究開発税制の見直し等が行われました。

法人会では、昨年9月に「平成31年度税制改正に関する提言」を取りまとめ、その後、政府・政党・地方自治体等に提言活動を積極的に行ってまいりました。今回の改正では、中小法人向け税制や事業承継に関する税制の見直しなど法人会の提言事項の一部が盛り込まれ、以下のとおり実現する運びとなりました。
[法人課税]
1.中小法人に適用される軽減税率の特例
法人会提言 改正の概要
  • 中小法人に適用される軽減税率の特例15%を時限措置(平成31年3月31日まで)ではなく、本則化する。なお、直ちに本則化することが困難な場合は、適用期限を延長する。また、昭和56年以来、800万円以下に据え置かれている軽減税率の適用所得金額を、少なくとも1,600万円程度に引き上げる。
  • 中小企業者等に係る軽減税率の特例の適用期限が2年延長されました。

 

2.中小企業投資促進税制
法人会提言 改正の概要
  • 中小企業投資促進税制については、対象設備を拡充したうえ、「中古設備」を含める。適用期限が平成31年3月31日までとなっていることから、直ちに本則化することが困難な場合は、適用期限を延長する。
  • 中小企業投資促進税制の上乗せ措置として平成29年度に改組された中小企業経営強化税制について、事業年度末が迫った申請の認定に当たっては弾力的に対処すること、及び適用期限(平成31年3月31日まで)を延長すること。
  • 中小企業投資促進税制の適用期限が2年延長されました。
  • 中小企業経営強化税制について、特定経営力向上設備等の範囲の明確化及び適正化が行われ、適用期限が2年延長されました。

 

[事業承継税制]
1.相続税、贈与税の納税猶予制度の充実
法人会提言 改正の概要
  • 平成30年度税制改正では、中小企業の代替わりを促進するため、10 年間の特例措置として同制度の拡充が行われたことは評価できるが、事業承継がより円滑に実施できるよう求める。
  • 贈与税の納税猶予における受贈者の年齢要件が20歳以上から18歳以上に引き下がります(2022年4月1日以後の贈与より適用)。
  • 一定のやむ得ない事情により認定承継会社等が資産保有型会社・資産運用型会社に該当した場合、その該当した日から6月内にこれらの会社に該当しなくなったときは、納税猶予の取消事由に該当しないこととなります。
  • 非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の適用を受ける場合には、贈与税の納税猶予の免除届出の添付書類が不要となる等、手続きの簡素化が行われます。

 

[その他]
1.少子化対策
法人会提言 改正の概要
  • 企業も積極的に子育て支援に関与できるよう、企業主導型保育事業のさらなる活用に向けて検討する。
  • 企業主導型保育事業の用に供する固定資産に係る固定資産税等の課税標準の特例措置の適用期限が2年延長されました。

 

2.ふるさと納税制度
法人会提言 改正の概要
  • 納税先を納税者の出身自治体に限定するなど、「ふるさと納税」本来の趣旨に沿った見直しが必要である。
  • 過度な返礼品を送付し、制度の趣旨を歪めているような団体については、ふるさと納税(特例控除)の対象外とすることができるよう、制度の見直しが行われます。

 今回は、 本年令和元年10月1日から実施される消費税の軽減税率制度についてご説明させていただきます。
 説明会等ですでにご存知のこととは思いますが、再度確認をさせてい ただきます。

 「消費税軽減税率制度」の概要と説明会のお知らせ
 軽減税率制度は軽減税率の対象品目を取り扱う業者はもとより、軽減税率の対象品目の売上がない事業者や、消費税の納税義務のない免税事 業者を含め、 すべての事業者の方に関係があります。
 対象品目は@飲食料品とA新聞です。
 @軽減税率の対象となる飲食料品とは、 食品表示法に規定する食品(酒類を除く)をいい、 一定の一体資産を含みます。
 なお、外食やケータリング等は対象に含まれません。
 A軽減税率の対象となる新聞とは、一定の題号を用い、政治、経済、社会、文化等に関する一般社会的事実を掲載する週2回以上発行されるもの(定期購読契約に基づくもの)をいいます。
 事業者は、日々の業務において、税率の異なるごとに売上げや仕入れ(経費)を区分経理した上で、申告・納税を行うことが必要となります。
 特に軽減税率の対象となる商品の仕入れ(経費)のみがある事業者は以下の対応が必要になりますのでご注意ください。
 @取引先から、区分記載請求書(令和5年10月1日からは、適格請求書等)を受領し、日々の取引を税率の異なるごとに記帳(区分経理)
 A区分経理に基づき、申告時に税額計算
 これまでも、消費税の仕入税額控除を適用するためには、帳簿及び請求書等の保存が要件とされていましたが、令和元年10月1日以降は、こうした区分経理に対応した帳簿及び請求書等(区分記載請求書等)の保存が要件となります(区分記載請求書等保存方式)。
 荒川署をはじめ、各税務署などで随時説明会を開催しております。
 開催日時・場所につきましては、国税庁ホームページをご覧下さい。

「軽減税率対策補助金」の制度について
 軽減税率制度(複数税率)への対応が必要となる中小企業・小規模事業者等の方には、複数税率対応レジ等の導入、受発注ジステムの改修、請求書等の作成に係るシステムの改修等を行う際に、その経費の 一部を補助する「軽減税率対策補助金」の制度があります。
 (注)リースによる導入も補助金対象となるものがあります。

A型 複数税率対応レジ等の導入等支援
 複数税率に対応できるレジ等を新しく導入したり、対応できるように既存のレジを改修したりするときに使える補助金です。
B型 受発注システムの改修等支援
 電子的な受発注システム(EDI/EOS等)を利用する事業者のうち、複数税率に対応するために必要となる機能について、改修・入替を行う場合に使える補助金です。
C型 請求書管理ジステムの改修等支援
 軽減税率に対応した請求書の発行を円滑に行うために請求書管理システムを改修・導入する場合に使える補助金です。

 ※軽減税率制度に対応するためのレジや券売機、受発注ジステム、請求書管理システムの改修費用は、一般的に修繕費として処理できます。

 

 

国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp
 
■2019
第140号 平成31年3月
第139号 平成31年1月
■2018
第138号 平成30年11月
第137号 平成30年9月
第136号 平成30年7月
第135号 平成30年5月
第134号 平成30年3月
第133号 平成30年1月
■2017
第132号 平成29年11月
第131号 平成29年9月
第130号 平成29年7月
第129号 平成29年5月
第128号 平成29年3月
第127号 平成29年1月
■2016
第126号 平成28年11月
第125号 平成28年9月
第124号 平成28年7月
第123号 平成28年5月
第122号 平成28年3月
第121号 平成28年1月
■2015
第120号 平成27年11月
第119号 平成27年9月
第118号 平成27年7月
第117号 平成27年5月
第116号 平成27年3月
第115号 平成27年1月
■2014
第114号 平成26年11月
第113号 平成26年9月
第112号 平成26年7月
第111号 平成26年5月
第111号 平成26年3月
第110号 平成26年1月
■2013
第109号 平成25年11月
第108号 平成25年9月
第107号 平成25年7月
第106号 平成25年5月
第105号 平成25年3月
第104号 平成25年1月
■2012
第103号 平成24年11月
第102号 平成24年9月
第100号 平成24年5月
第99号 平成24年3月
第98号 平成24年1月


 
 
2009 Arakawa Hojinkai Gensenbukai All Rights Reserved.