◇給与所得者でも、次に該当する方は確定申告が必要です!
  • 給与の収入金額が2,000万円を超える方
  • 給与を1か所から受けている方で、給与所得や退職所得以外の各種の所得金額の合計額が20万円を超える方
    (公的年金等に係る雑所得も該当しますのでご注意ください)
  • 給与を2か所以上から受けている方で、年末調整をされなかった給与の収入金額と給与所得や退職所得以外の各種の所得金額との合計金額が20万円を超える方
  • 同族会社の役員やその親族などで、その同族会社から給与のほかに貸付金の利子、店舗・工場などの賃貸料、機械・器具の使用料などの支払いを受けている方
※確定申告が必要な方は、3月16日(月)までに申告書の提出と納付をお願いします。

◇給与所得者で、次に該当するような方は、確定申告をすれば税金が戻る場合があります!
  • 平成20年の中途で退職した後、就職しなかった方で年末調整を受けなかった方
  • 平成20年分の所得が一定額以下の方で、総合課税の配当所得や原稿料などがある方
  • 雑損控除、医療費控除、寄付金控除、住宅借入金等特別控除、政党等寄付金特別控除などを受けることができる方
申告書の作成は、国税庁のホームページの「確定申告等作成コーナー」をご利用ください
※その他、詳細は国税庁のホームページでご確認ください。
◎今回は、退職に関連したQ&Aを掲載しました。事務の参考となれば幸いです。
1 退職金を分割支給した場合の源泉徴収税額の計算

【照会要旨】
  本年3月に勤続30年で退任した取締役Aについて、株主総会において5,000万円の退職金を支給することが決議されましたが、資金繰りの都合から7月に3,000万円、12月に2,000万円と2回に分割して支給することとしました。
  この場合の源泉徴収税額はどのように計算すればよいのでしょうか。

【回答要旨】
  まず、退職金総額5,000万円について源泉徴収すべき税額を計算し、その税額を各回の支給金額であん分して計算することとなります(所得税基本通達183〜193共-1、201-3)。
  照会の場合、具体的には次のようになります。

(1) 勤続30年に対する退職所得控除額……800万円+70万円×(30年−20年)=1,500万円

(2) 退職金所得金額の計算……(5,000万円−1,500万円)×1/2=1,750万円

(3) 源泉徴収すべき税額……1,750万円×33%−153.6万円=423.9万円

(4) 7月に徴収する税額……423.9万円×3,000万円/5,000万円=254.34万円

(5) 12月に徴収する税額……423.9万円×2,000万円/5,000万円=169.56万円

【関係法令通達】
  所得税法第30条、第89条、所得税基本通達183〜193共-1、201-3

2 退職所得の受給に関する申告書に支払済の退職手当を記載しないで提出した場合の是正方法

【照会要旨】
  同一年中に2か所から退職手当の支給を受けましたが、後で支給された退職手当の支払者に対して支払済の退職手当の額等を記載しないで退職所得の受給に関する申告書を提出したため、本来の源泉徴収すべき税額に比して不足が生じています。
  この場合、源泉徴収義務者は退職手当等の受給者からの申告に基づき適法に源泉徴収していることとなるので、徴収不足税額は確定申告により精算して差し支えありませんか。

【回答要旨】
  徴収不足税額を確定申告で精算することはできません。

 退職所得の受給に関する申告書には、支払済の他の退職手当等があるかどうか及びその支払済の退職手当等があるときはその金額を記載しなければならないこととされており(所得税法第203条第1項)、その記載がない申告書は記載事項に誤りのある申告書となります。
  退職手当等の支払者は、提出を受けた退職所得の受給に関する申告の記載事項に誤りがあったことにより生じた徴収不足税額があることを知った場合には、直ちにその不足税額を徴収し納付することとされています(所得税基本通達203-3)。
  したがって、徴収不足税額は、退職手当等の支払者の下で是正しなければならないこととなり、確定申告で精算することはできません。

【関係法令通達】
  所得税法第203条第1項、所得税基本通達203-3、194〜198共-1、194〜198共-3

3 定年退職者に対する海外慰安旅行についての課税関係

【照会要旨】
  定年退職者に対する海外慰安旅行の供与は、課税されますか。

【回答要旨】
  定年退職者に対する海外慰安旅行の供与については、それが永年勤続者表彰制度と同様の内容に基づくものであり、社会通念上相当と認められるものについては非課税として取り扱い、それを上回るものについては、退職所得に該当するものとして課税することとなります。

 定年退職者旅行の供与については、次の理由から、永年勤続者表彰制度と同様の内容に基づくものであり、社会通念上相当と認められるものであれば、課税しなくて差し支えないと考えられます。

 永年勤続者表彰制度に基づき永年勤続者を旅行に招待した場合の当該永年勤続者の受ける経済的利益については、その永年勤続者の地位、勤続期間等に照らし社会通念上相当であると認められるものであれば課税しないこととしている取扱いの趣旨からすれば、定年退職者旅行がたまたま定年退職を機会として行われるからといって退職所得として課税することは必ずしも相当でないこと。

 永年勤続者表彰旅行については、同一人が数回旅行をすることもあり得るのに対し、定年退職者旅行については、定年退職という通常は生涯に1回しかない機会をとらえて旅行をするものであることを考慮すると、前者は非課税とし、後者は退職所得として課税するということは権衡を失するといえること。

【関係法令通達】
  所得税基本通達36-21

4 定年前退職者等に支給する転進助成金

【照会要旨】
  退職後、新たに再就職又は自営しようとする社員に対する助成策として転進助成金制度を導入し、社員が転進後(退職後)の職業に役立つ資格、技能を習得するために受講又は受験した社外講座、試験に要した費用について、30万円を限度として転進助成金を支給することとしたいのですが、その転進助成金に対する課税上の取扱いはどのようになりますか。

(注) 本制度は中高年層の定年前退職を促進する目的のため創設されたものです。

【回答要旨】
  照会の転進助成金は、給与所得又は雑所得に該当することとなります。

 退職前(雇用関係継続中)に支給が確定するものは、雇用関係に基づいて受ける給付ですから、給与所得に該当します。
  退職後(雇用関係終了後)に支給が確定するものは、退職に基因して支払われるものではなく、退職者であっても本制度の対象となる講座や試験に該当しなければ助成は受けられない(転進後の就職に役立つことを目的として給付を受けるものです。)ことから、給与所得、退職所得及び一時所得のいずれにも該当しないので、雑所得に該当することとなります。
  なお、この転進助成金は、使用者の業務遂行上の必要に基づき、使用人としての職務に直接必要な資格、技術の習得を目的としたものではないため、非課税とはなりません(所得税基本通達9-15)。

【関係法令通達】
  所得税基本通達9-15

注記
  平成20年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。
  この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

 去る1月20日(火)荒川法人会館3階会議室において『源泉部会全体研修会』が実施されました。
  当日は、三橋部会長、西村源泉部会担当副会長、荒川税務署法人課税第2部門 依田統括官殿にご挨拶をいただいた後、「給与所得者の確定申告について」と題しまして荒川税務署個人課税第1部門 金澤上席殿に講義をお願いいたしました。
  皆様の研修会へのご参加をお待ち申し上げております。

金澤上席 三橋部会長   西村副会長

 

 当荒川法人会源泉部会では、皆様もご存知のように荒川税務署の源泉担当官を講師に迎え、源泉についての詳しい説明やわかり難い事例等の説明などの研修会を開催しております。また、異業種交流の一環として懇親事業も実施しております。
  つきましては、源泉部会員を募集しておりますので、部会員の皆様にもお知り合いがございましたら一声掛けていただければ幸いです。
  ご多忙中、恐縮ですがご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 

 

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