労務管理と労働法
労働法を知らずに労務管理はできません。
しかし、法律の条文だけでも不十分です。

増える労務をめぐるトラブル
 中小企業では勤怠や採用・退職などの日常的な労務管理においてそのよりどころとなっているのは就業規則や労働法ではなく、前例や慣行であることは現場の実態としてご存知のとおりです。しかし、そのことが思わぬところで法違反を指摘されたり、従業員との間でトラブルになることも多いのが現実です。
 永年経営や労務管理にたずさわっているなかで「以前と同じことをやっているのに」とか、「以前はこんなことでトラブルにはならなかったのに」と感じている人も多いことでしょう。この背景には社会状況や若い人たちの社会意識の変化があるのです。

その背景は
 現在、雇用の流動化が進む中、中小企業でもいろいろな企業を渡り歩いた従業員が入社してきます。以前は同じ業種で同じような規模の企業の間での異動が多かったのですが、大企業にいた人が中小企業に入ってくることも増えてきました。大企業の感覚(賃金や労働時間、休暇など)と中小企業の現実との違いがトラブルを生むこともあります。
 若者達の意識の変化も見逃せません。テレビや新聞などで労使トラブルが頻繁に報道され、インターネットを通じて労働法や労務相談ができる現在、彼らの労働者としての権利意識は格段に増大しています。加えて彼らには、かつての従業員にあった企業に対する帰属意識はきわめて希薄であり、 労働基準監督署や報道機関への内部告発が当然であるかのような風潮が進んでいるのです。

労働法をおさえよう!しかし・・・
 労使トラブルは、トラブルをおこした従業員のみならず、若手がやる気を無くしたり優秀な従業員の流出など当事者以外の従業員と会社との関係にも悪影響をおよぼすものです。
 今後企業防衛という観点からも、労働法の考え方を整理すべきといえるでしょう。

 ただし、法律の条文だけではトラブルは回避できません。例えば、最近多いトラブルに解雇があります。
 条文で解雇について定めてあるのは、解雇予告の手続きと、業務災害のときや育児・介護休業をとったことを理由とする解雇の禁止など、制限規定は限定されています。ところが、裁判所の判断(判例)によって、解雇には理由の合理性、社会的相当性が必要とされ、多くの企業が解雇をめぐる裁判で敗訴しているのが現実です。労使トラブルの予防には法令と同時に判例についても、その考え方を整理する必要があります。

判例は結果だけでなく
 労働判例は、事件の概要と結論だけではトラブル防止策を読み取ることはできません。労働事件は、前提がほんの少し違っただけで、正反対の判決が導かれることがよくあるのです。例えば、労働組合の会社施設へのビラ貼りは、多くの判例で「建造物損壊として認められない」とされて
いますが、争議の原因や過程で使用者側に責任があったことを理由に認められたケースもあります。

 法令の条文や判例の結論だけでなく、事案の本質と判断の根拠となった考え方を読み解く必要があります。

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