[↑テトリス・ホーム]

20G と闘う



アリカ製のテトリス 「ザ・グランドマスター」(略称 TGM), 「The Absolute」(略称 TA)が 他のテトリスと一線を画している理由のひとつ... それが 20G モードの存在です。

「20G モード」
1 フレーム(ビデオゲームの 1 コマ。表示上の最小時間。1/60 秒。)で 20 マス落下することから名付けられたらしい。 テトリスはタテに 20 マスしかないので一瞬にして下まで落下する。 この結果,「空中」という概念はなくなってしまう。 「空中で狙った位置に移動させてから落下」ではなく 「落下してから狙った位置に移動」ということになる。

20G モードのアイディアは以前からあったようですが, 現時点で 20G モードを楽しめるテトリスはアリカのものが手軽です。 以下の記述はすべてアリカ製のテトリスが基になります。

また,The Absolute には初期バージョン(無印)と アップグレード版の「PLUS」があります。 この稿は「PLUS」について述べています。

20G が楽しめる環境

「20G モード」を選択するにはコイン投入後に 「下下下下下下下下 C B A」と操作します。 レバーを下に入れる回数は 8 回です。「A」「B」「C」は左,中,右の各ボタンです。 この操作は「ザ・グランドマスター」「The Absolute」共通です。 コイン投入後でもデモやランキングのときは無効です。

「The Absolute」をノーマルモードで楽しんでいる人は 「スタッフロールが始まると思うように操作できなくてなんか変??」と 感じているかもしれません。
それは 20G です )^o^(

20G で何が起こるのか

   ■■■
     ■
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
〜(高さには余裕がある)〜
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
□・・・□・□□□□
□・・・□□□□□□
□□□・□□□□□□ ←左側で 2 ライン消すことにする。

この状況で,単純にラインを消すことを優先に考えると 左側にちょうどハマる場所があります。


20G でなければ簡単です。ちょっと左に移動させるだけです。 レバーを左に入れればいいですね。

   ※※※
     ※
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
□・・・□・□□□□
□■■■□□□□□□
□□□■□□□□□□ ←20G でなければ問題なし。

20G でも同じようにレバーを左に入れるとどうなるでしょうか?

   ※※※
     ※
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・■■■・・・・
□・・・□■□□□□
□・・・□□□□□□
□□□・□□□□□□ ←20G ではうまくいかない。

努力のかいもなく真下に落ちます。 高さにどれだけ余裕があっても,レバー操作がどれほど早くてもダメです。 空中でのブロック移動はいっさいできません。
落下中の時間が「短い」のではなく「無い」のです。 ですから,落下中の操作(移動,回転)もできないのです。


はじめの一歩 − IRS を使おう

IRSInitial Rotation System の略だそうです。 日本語では「先行回転入力」といいます。

ブロックの出現する瞬間に回転ボタンが押しっぱなしになっていると ブロックが 1 回転(90 度)の状態で出現する仕組みのことです。
このとき「ッチン!」とか「ジャキン!」とか表現される金属音が鳴ります。 少々うるさいお店でも遠くまでとおる特徴的なサウンドです。

ボタンを押しはじめる時間は出現と同時ではなく,出現前です。 そのまま出現まで押し続けます。

先ほどの例でさっそく IRS を使ってみましょう。
正回転(左回転。A または C ボタン)の IRS を使うと... 着地はこのようになります。

   ※※※
     ※
・・・・・・・・・・
・・・・■■・・・・
・・・・■・・・・・
・・・・■・・・・・
□・・・□・□□□□
□・・・□□□□□□
□□□・□□□□□□ ←IRS を使ってみた。

引っかからずに済みました。あとは左に移動させて,

・・・・・・・・・・
・■■・・・・・・・
□■・・□・□□□□
□■・・□□□□□□
□□□・□□□□□□ ←レバーが左に入っていればこうなる。

ここで逆回転(右回転。B ボタン)すると,

・・・・・・・・・・
□■■■□・□□□□
□・・■□□□□□□ ←「壁蹴り」するので 1 マス手前で止める必要はない。
□□□・□□□□□□  この状態は「空中」なので表示されず即座に落ちて,
・・・・・・・・・・
□・・・□・□□□□
□■■■□□□□□□
□□□■□□□□□□ ←やれやれ。

無事に納まります。結局ボタンを「A,B」と使いました。 レバーはずっと左に入れっぱなしでかまいません。

この状況では逆回転の IRS を使っても可です。


今度は別の例で。ここから 3 ラインを取りに行きます。
いちいち図は描きませんが,IRS を使わないと嫌な空隙ができてしまうのは わかりますね?

   ■■■
     ■
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・□・□・□・・□
・・□□□□□□□□
・・□□□□□□□□
・□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□

ここでは逆回転の IRS を使います。

   ※※※
     ※
・・・・■・・・・・
・・・・■・・・・・
・・・■■・・・・・
・・□・□・□・・□
・・□□□□□□□□
・・□□□□□□□□
・□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□

着地したらレバーを左に入れて,もうひとつ逆回転させます。
一瞬の後に,こうなります。

・・・・・・・・・・
■・・・・・・・・・
■■■・・・・・・・
・・□・□・□・・□
・・□□□□□□□□
・・□□□□□□□□
・□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□

さらに逆回転。レバーはまだ左に入っています。 これで最下段まで落ちます。

・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・□・□・□・・□
・・□□□□□□□□
■■□□□□□□□□
■□□□□□□□□□
■□□□□□□□□□

ここではボタンを「B,B,B」と使いました。 ブロックの向きだけを考えれば「逆回転 3 回 = 正回転 1 回」です。 しかしブロックの移動を考慮すると「逆回転 3 回 ≠ 正回転 1 回」なのです。
レバーはブロック着地後左に入れっぱなしですが, レバーが早すぎ,かつ 2 回目の逆回転が遅れると 1 回転のまま左端まで 行ってしまう危険はあります。


地形が重要であること − その1

IRS ではどうしようもない状況もあります。 この状況になってしまったら上級者でも手の打ちようがありません。

   ■■■
    ■
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・□□・□・□・・
・・□□・□□□□□
・□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□
1234567890

IRS を使うとよけい状況が悪くなります。 すき間の上の「ふた」が 3 マスになるからです。 「2 回転すれば」と思う人もいるかもしれませんが, それはかんちがいで回りません。

   ※※※
    ※
・・・・・・・・・・
・・・・■・・・・・
・・・・■■・・・・
・・□□■□・□・・
・・□□・□□□□□
・□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□
・□□□□□□□□□
1234567890

これは「運が悪い」のではなく,このような地形を作ってしまった 「あなたが悪い」のです。 「上級者でも手の打ちようがない」と書きましたが, 「上級者はこのような状況を作らない」ものなのです。

この急所は左から 5 列目(中央左寄り)です。
5 列目をくぼみにすることは危険です。


地形が重要であること − その2

左から 5 列目が重要な理由がもうひとつあります。
下の図は左右対称に描いてあります。 一カ所だけ高くなっている列があって, それが 5 列目か 6 列目かという違いになります。
ここに紫ブロック(S 字)が来たとして,

    ■■          ■■
   ■■          ■■
・・・・・・・・・・  ・・・・・・・・・・
・・・・□・・・・・  ・・・・・□・・・・
・・・・□・・・・・  ・・・・・□・・・・
□□□□□□□□□・  ・□□□□□□□□□
□□□□□□□□□・  ・□□□□□□□□□
□□□□□□□□□・  ・□□□□□□□□□
□□□□□□□□□・  ・□□□□□□□□□
1234567890  1234567890

左側の図(5 列目が高くなっている)では紫を左右どちらにでも 振り分けることができます。
右側の図(6 列目が高くなっている)では左側に置くことしかできません。
5 列目も 6 列目も中央を占める等価な列,ではないのです。

振り分けができても置くところがないって?
これは人工的に作った状況なのであまり気にしないでください。 2 つの地形はよく似ていますが選択の幅が格段に違うということです。

なお,紫に対して IRS を使った場合はこのようになります。 5 列目が高いときは振り分け可能, 6 列目が高いときには左側に置くだけ,ということは変わりません。

   ■
   ■■
    ■
1234567890

5 列目をくぼみにすることが危険を招き, 高くすることが有利な状況を作り出すことを覚えておきましょう。


赤(I 字)の回転法則を理解する

適切な時期に来てくれればとてもうれしい赤ブロック(I 字)... しかし,うまく置けなければ単なる厄介者です。

赤はこのように回転します:

   0     1     2     3
・・・・  ・・■・  ・・・・  ・・■・  
■■■■  ・・■・  ■■■■  ・・■・  
・・・・  ・・■・  ・・・・  ・・■・  
・・・・  ・・■・  ・・・・  ・・■・  

ヨコからタテになるときに常に 右から 2 番目 の位置に立つことを覚えておいてください。 また,立つためには下が 2 マス以上空いていなければなりません。

またしても左右対称な地形です。 左側の図は 4 ライン消せます。 右側の図は消せません。
4 ライン消し狙いで空けておくのは左端にするよりも右端にするほうが有利です。 その理由は,この赤の非対称な回転法則から来ているのです。

   ■■■■        ■■■■
・・・・・・・・・・  ・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・  ・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・  ・・・・・・・・・・
□□□□・・□□・・  ・・□□・・□□□□
□□□□□□□□・・  ・・□□□□□□□□
□□□□□□□□□・  ・□□□□□□□□□
□□□□□□□□□・  ・□□□□□□□□□
□□□□□□□□□・  ・□□□□□□□□□
□□□□□□□□□・  ・□□□□□□□□□
1234567890  1234567890

左側の図について操作方法を書いておきます。
レバーを右に入れておいて,右端まで移動したら 1 回転(どちら向きでも)です。

   ※※※※
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・■■■■
□□□□・・□□・・
□□□□□□□□・・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・ ←壁についたのを見てから回転させます。
□□□□□□□□□・  下がちょうど 2 マス空いているので回ります。
1234567890


・・・・・・・・■・
・・・・・・・・■・
□□□□・・□□■・
□□□□□□□□■・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・ ←まだレバーは右のまま。
□□□□□□□□□・  この状態はたいていの場合見えません。
1234567890


・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
□□□□・・□□・・
□□□□□□□□・・
□□□□□□□□□■
□□□□□□□□□■
□□□□□□□□□■
□□□□□□□□□■
1234567890

似て異なる例を。
先ほどの例と同じように操作すると失敗してしまいます(タテになりません)。
ヨコになったまま 1 ライン消えるので大失敗ではないのですが, うれしくはありません。

   ■■■■
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
□□□□□□・・・・
□□□□□□□□・・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・
1234567890

ここは IRS でタテにして右端へ持っていきます。
IRS を使う・使わないの判断が即座にできなければなりません。 IRS が使えれば簡単に立ちます。IRS が使えなければ立ちません。 「気迫で立てる」のではありませんよ。


限定された状況ですが,派手な例です。「赤のまたぎ」です。

   ■■■■
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・□・・・・・□・・
□□□□□□・□・・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・
1234567890
   ※※※※
・・・・・■・・・・
・・・・・■・・・・
・・・・・■・・・・
・□・・・■・□・・
□□□□□□・□・・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・ ←IRS を使います。
□□□□□□□□□・  レバーは右に入れっぱなし。
1234567890
・・・・・・・・・・
・・・・・・■・・・
・・・・・・■・・・
・□・・・・■□・・
□□□□□□■□・・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・ ←ここでボタン。
□□□□□□□□□・ 「6789」の位置でヨコになります。
1234567890
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・■■■■
・□・・・・・□・・
□□□□□□・□・・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・ ←右端についたらもう一回ボタン。
□□□□□□□□□・  結局 3 回転になります。
1234567890
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・■・
・・・・・・・・■・
・□・・・・・□■・
□□□□□□・□■・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・ ←この状態は見えません。
□□□□□□□□□・  壁をまたぎます。以下省略。
1234567890

「またぎ」は右側に赤を送るときに有効で,8 列目を乗り越えるのに使います。 左側には必要ありません。 左側で「またぎ」が成功するならば 4 列目が高いということなので IRS を使わずヨコのまま左端まで移動させることができます。

この技を「赤の飛ばし」ということもあります。


渡し

いままでの例で IRS が有効なことがわかりました。
とくに青ブロック(J 字)と橙ブロック(L 字)をこのように使うと とても便利です。20G の入門はこれを使いこなすこと,といってもいいでしょう。

   ※※※
     ※

    ■
    ■
   ■■
1234567890

   ※※※
   ※

    ■
    ■
    ■■
1234567890

なぜ便利なのか... 分かり切ったことながら,初期状態の接地面の幅「1」が この向きに回すと幅「2」になるので幅 1 の溝にハマらなくなるからです。

さらにもう 1 回転させて

   ■
   ■■■

このかたちにすれば接地面の幅が「3」ですから幅 2 の溝でも大丈夫です。 また,水色ブロック(T 字)が溝を越すには接地面の幅を「3」にするしか ありません。
青,橙,水を 2 回転させて幅 2 の溝を越えさせることを「渡し」と 呼ぶことにしておきます。

    ■
   ■■■

実際に「渡し」を使うのは簡単ではありません。
「渡し」のかたちを整えるのに 2 回転,そのままのかたちで置くことは少ない, とすると 3 回転以上をタイミングを見計らってしなければなりません。 けっこう複雑な操作になってしまいがちなのです。

「いかにも」な例になりますが。

   ■■■
    ■
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・□□・・・・・
□・・□□・・・・・
□・□□□・・□・・
□・□□□・・□・・
□□□□□□□□・・
□□□□□□□・・・
□□□□□□□□・・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・
   ※※※
    ※
・・・・■・・・・・
・・・■■■・・・・
・・・□□・・・・・
□・・□□・・・・・
□・□□□・・□・・
□・□□□・・□・・
□□□□□□□□・・
□□□□□□□・・・
□□□□□□□□・・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・ ←素早く 2 回転。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・□□・・・■・
□・・□□・・■■■
□・□□□・・□・・
□・□□□・・□・・
□□□□□□□□・・
□□□□□□□・・・
□□□□□□□□・・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・ ←これで「渡り」ます。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・□□・・・・・
□・・□□・・・・・
□・□□□・・□・・
□・□□□・・□・・
□□□□□□□□■・
□□□□□□□・■■
□□□□□□□□■・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・ ←逆回転させると落ちます。
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・□□・・・・・
□・・□□・・・・・
□・□□□・・□・・
□・□□□・・□・・
□□□□□□□□■・
□□□□□□□■■・
□□□□□□□□■・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・ ←さらに逆回転 2 回。

最初の「素早く 2 回転」はボタンを 2 回叩くほかに 「瞬間裏返し」というテクニックもあります。 たとえば IRS で A ボタンを押しておいて出現を見計らって C ボタンを使います。 他にも「瞬間裏返し」の操作法はあります。
A と C の両方使った IRS が「瞬間裏返し」になると楽なのですが,なりません。

最初の 2 回転ができたらレバー右で右端まで移動させます。 その後「B,B,B」で嫌なスキマをふさぎます。
「B,B」で止めて 1 ライン消したほうが良形かな...

まとめると「A,C,右,B,B,B」です。計 5 回転ということになりました。


フレーム入れ

これは「技」というよりも「芸」に近いものです。 身につける必然性は薄いのですが, ブロックの移動法則の 1 つとして紹介します。

「フレーム入れ」とはブロックの移動と回転の操作を同時に行うと 直観的にはできないような操作ができてしまうことです。

   ■■■■
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
□・・・・・・・・・
□□□□□□・・・・
□□□□□□・・・・
□□□□□□・・□・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・ ←落下前からレバーを右に入れっぱなし。
1234567890
   ※※※※
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
□・・・・■■■■・
□□□□□□・・・・
□□□□□□・・・・
□□□□□□・・□・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・ ←まだレバーは右のまま。
1234567890

この瞬間では回転できますが,8 列目に立ってしまいます。

次の瞬間にブロックは「7890」の位置に来ますが, そこには支えがないので落ちます。 落ちてしまったら移動も回転もできなくなってそこまでです。

しかし「7890」に移動するのと同時に回転させることができ, その結果ブロックは 9 列目に立ちます。 そして 10 列目まで送り込むことができてしまうのです。

・・・・・・・・・・
・・・・・・・・■・
□・・・・・・・■・
□□□□□□・・■・
□□□□□□・・■・
□□□□□□・・□・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・
□□□□□□□□□・ ←まだレバーは右に入っているので
□□□□□□□□□・  一瞬の後に,
1234567890
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
□・・・・・・・・・
□□□□□□・・・・
□□□□□□・・・・
□□□□□□・・□・
□□□□□□□□□■
□□□□□□□□□■
□□□□□□□□□■
□□□□□□□□□■ ←こうなります。
1234567890

ゲームの内部では

  1. 回転
  2. 横移動
  3. 落下
という順序で処理が進んでいるらしいことがわかっています。 詳細な考察が いぺぱぴ さんの「ぼやき」(過去分) にあります。

この「芸」のために必要な「同時」とは何か? ということになりますが, 上記の 1 サイクルは 1/60 秒単位と考えられているので, プレイヤの操作が 1/60 秒以内に納まっていれば同時と見なされて成功です。 ただし,これはプレイヤの操作が 1/60 秒で完了する,ということではなく ゲーム側が区切った 1/60 秒の中にすべての操作が納まるということです。 たとえ 1/120 秒の間に操作できても,それがゲーム側の 1/60 秒に 納まる確率は 1/2 にしかなりません。

「フレーム入れ」はかつて「シンクロ」とも呼ばれていましたが 「フレーム入れ」の呼び方が推奨されています。


はしり技(フレーム入れ − その2)

さて,前章で「フレーム入れ」として移動と回転を同時に行うと 一見不可能なブロック移動ができることをお話ししました。 また,「同時」のタイミングが難しいこともお話ししました。

しかし地形によっては「ため」を利用できる場合があり, このときは「同時」である必要はありません。

「ため」
レバーが左(または右)に一定時間以上入っている状態です。 このときブロックは横方向に(移動可能ならば)高速で移動します。

「ため」が発動している状態で回転させれば, 微妙なタイミングを必要とせずにフレーム入れと同じ結果を得ることができます。 少し慣れれば確実に操作できることから実用性も高く, 「はしり技」などと呼ばれることもありました。 「ため」が利用できる地形というのは要するに突き当たっているということです。

さて,初代セガテトリスから存在する例です。

・・・・・・・・・・
□□□・・・・・・・
□□□□・・・・・・
□□□・・・・・・・
□□□□・・■・・・
□□□□■■■・・・
□□□□□・・・・・ ←ここから正回転すると
□□□□□・・・・・
・・・・・・・・・・
□□□・・・・・・・
□□□□・・・・・・
□□□・■■・・・・
□□□□・■※・・・
□□□□※■※・・・
□□□□□・・・・・ ←「ため」がなければこの位置で回転する(当然落ちる)。
□□□□□・・・・・
・・・・・・・・・・
□□□・・・・・・・
□□□□・・・・・・
□□□■■・・・・・
□□□□■・※・・・
□□□□■※※・・・
□□□□□・・・・・ ←しかし左に「ため」が入っていればこうなる。
□□□□□・・・・・

さらにその先へ

「The Absolute」においては 20G モードは究極ではありません。 「その先」があります。
マスターモードではレベル 500 で 20G モードになります。 さらにレベルが進むと...

これらの時間が短くなっていきます。

レベル 800 の速さではもう考えている余裕がほとんどありません。 慣れていないプレイヤは考える以前に眼が追いつかないかもしれません。

ところが,むやみやたらに速いだけではなく, よく考えてある設定なので超高速であるにもかかわらず ちゃんとプレイできているあいだは操作できます。 奇妙な言い方ですが,自分が何をしたらいいかわかっていれば ゲームを制御していくことができるのです。これはなかなか爽快です。 「脳内麻薬」といってもいいかもしれません。 しかしいちど制御を失うと取り戻す前に「ゴゴゴ」と数個のブロックが 気絶状態で積み重なってしまうでしょう。

レベル 900 の速さではゲームの性質が変化しはじめます。

「細かい操作」ができなくなっていくのです。

   ■■■■
・・・・・・・・・・
・・・・□・・・・・
・・・・□・・・・・
・・□・□□・・・・
□□□・□□・・□・
□□□・□□・□□□ ←4 列目が埋まればうれしいが。
□□□・□□□□□□
1234567890

この例では単純に 20G ならば「左左 A」で 4 列目を埋めることができます。 しかしレベル 900 ではこの操作は危険です。 うまくいく場合もありますが回転が間に合わずに「2345」で 固まってしまうかもしれません。 不意に固まってしまえばすかさず次のブロックが落ち始めて IRS も 間に合わず「ため」も利用できないのでパニックになってしまいます。

ここは 7 列目に立てるのが安全策だと考えます。
つまり,操作が制約されていくのです。 これを克服するために必要となるのはのは手先の器用さではなく, 身に付いた知識と経験です。


まだ先があります。
デスモードのレベル 300 はマスターモードのレベル 900 より速くなります。

この速さでは上級者と呼ばれる人々でもレバーを下に入れることは難しくなります。 ブロック落下前に確実に操作できるプランを立ててそれをこなしていくのが 精一杯のところになります。

これでもまだ最大速ではなく,レベル 400 以降もさらに速くなります。 しかし残念なことに私のよく知らない世界でもあるのでご案内はできません。 がんばって探検してみてください。

◆お手本◆(Jan. 6 2002)
デスモードをクリアしている映像が アリカムービーページ からダウンロードできます。 ダイアルアップ環境からでもがんばってダウンロードする価値は十分にあります。


[↑テトリス・ホーム]

更新履歴:
新規:Aug. 19 2001
「はしり技」の章の追加,細かい修正:Oct. 28 2002