eweからの第三弾!

2004年8月10日リリース決定!!

album jacket image

TOKYO ZAWINUL BACH
a8v(on the Earth)

坪口昌恭(Masayasu Tzboguchi) :Keyboards, Computer("M" on Macintosh)
菊地成孔(Naruyoshi Kikuchi) :Soprano, Alto & Tenor Sax, CDJ
<Guest>
三沢 泉(Izumi Misawa) :Percussions
     *     *     *
藤井信雄 (Nobuo Fujii) :Drums(for Sampling)
高尾俊行 (Toshiyuki Takao) :Drums Fill(Sampling for "HORIZONING")
Sampling Contrabass for "INDUSTRIAL" :Ron Carter Bass Phrazes [BIG FISH PR7510]

1.HORIZONING ['10"25]
2.WATCH ['7"42]
3.BirdConduct4 ['3"14]
4.INDUSTRIAL ['8"08]
5.RITUAL ['7"11]
6.ALIENS 8 VIEWS ['7"05]
7.BirdConduct3 ['3"33]
8.HOUSE ['6"44]
Total'54"19

ewe Inc. Label Info.

Produced by Tokyo Zawinul Bach
Programming & Composition by Masayasu Tzboguchi(except 6.with Naruyoshi Kikuchi)
Arrangement by Masayasu Tzboguchi & Naruyoshi Kikuchi
Recorded by Shigeo Sakurai(ONKIO HAUS)at ONKIO HAUS & Studio Freez, January - March, 2004
Assisted by Shigeharu Nakauchi(ONKIO HAUS)
Mixed by Shigeo Sakurai(ONKIO HAUS), Masayasu Tzboguchi & Naruyoshi Kikuchi
Mastering by Wataru Ishii(ONKIO HAUS)

Art Direction and Design by Junya Kano
Photo by Youhey Kawahara

A&R:Kazuki Takami(ewe inc.)
Product Manager:Jun Abe(ewe inc.)
Product Coordination:Kanako Nishizawa(ewe inc.)

Executive Producer: Yukio Morisaki(ewe inc.)

Special Thanks:
Haruyo Kikuchi, Pardon Kimura, TA-1, Hiroki Chiba, Taku Yabuki, Gosekky,
Shigeki Nakamura, Hajime Yoshida(CLUB GOODMAN), Yoko Kamishima(MILK),
Shinnosuke Takizawa(LIVE INN ROSA), Wataru Mitamura(Rokkaku),
Takuya Nakatani(cyo), Kenji Ono(Roppongi PIT INN), Tadashi Miyamoto,
Masanobu Yamaguchi(ClubAsia), Goki Sakamoto(Keyboard Magazine),
Takeshi Ando(Five G Music Technology), Yuuichi Nakahara(KORG Inc.),
Ishimori Kangakkiten, Izumi Tzboguchi


¥2,190(税抜き)、EWBE 0010(Body Electric Records)


東京ザヴィヌルバッハ“a8v(on the Earth)”プロダクション・ノート by 坪口昌恭


 a8v=aliens 8 views。つまり“宇宙人が描いた地球の風景画(油絵)8曲入り”という意味のタイトルを菊地さんが付けてくれた。彼からできたてのタイトルを伝え聞く瞬間はいつも鳥肌が立つし、今回も的を得ていてとてもうれしい。実際に僕は、音楽を作る段階で特定の情景を思い浮かべたりはしないまでも、全体のイメージとして絵画や風景のような色彩感(色だけでなく材質や異物感も含めて)を持たせるのは、音楽を志した頃から変わらない。モノトーンにも憧れるが、幼少の頃から僕の美的感覚は天然色(昆虫図鑑とか地図とかの感じ)にあり、それを腐れ縁の菊地さんが感じ取ってくれたのだろう。そして、僕の“宇宙人のくせにサイボーグ指向である”という、つじつまの合わないアイデンティティも健在なのだ。

1.HORIZONING
 水平とか地平線とかのイメージで命名されたこの曲は、ベース・パターン、ドラムパターン、サックスソロ部のコード進行、揃って2003年10月13日(体育の日)の昼下がりに一瞬でできた。何気なく弾いていると、妻が走ってきて「何それ、ザヴィヌルバッハでやるの、カッコイイ!」と言った。よし、いけるぞ!(友達、できれば女性に聴かせてノってくれるかが重要だと小室哲哉氏も言っている・笑)。逆にミックスは本アルバム中一番手間がかかり、一旦出来上がったものを一からやり直したほど。それにしても菊地さんのソプラノ・ソロ(オン・コードのサックス・ソロはTZB初)泣かせるなあ。あんなにいい音出すのに、自分の楽器じゃないんだよな(笑・ゴセッキーの)。途中から邪魔しにかかるドラム・フィルの断片は、セッションドラマー高尾俊行(坪口実弟)によるもの。スタジオで録った藤井さんのフィルイン(2001年9月11日録音!)の方が、音質/内容とも豊かだったんだけど、自宅のベッドルームでチープなマイク一本で録った音の方が異物感があって面白かったわけ。初披露は体育の日3日後の渋谷クアトロに於けるeweイベント。上モノ・シンセのアイデアなどは、同11月のLIVE INN ROSAでのパフォーマンスで発生したものが元になっている。

2.WATCH
 この曲に主役があるとすれば、サイン波のようなシンセ音が変化してゆく様。サックスはソロというわけではなく、赤飯の小豆のようなアプローチをしている。後半のシンセソロは、12平均律ではない音程が出るようにプログラミングしたもの。ポップスはもちろん、ジャズも理論的には12平均律であることが大前提となっているけど、それをあえてハズしてみた。そういえば'90年代前半に見つけた“RATIONAL MUSIC FOR AN IRRATIONAL WORLD”(ルー・ハリソン他)という純正調作品集をすごく気に入っていて、平均律以外の音律に新鮮さを感じており、あの感じを出したかったというのもあるかも。曲の大半で鳴らしているプチプチ音は、Macintosh内のプラグイン・エフェクトをいじっていてハウリングや発振をした時の“特に嫌なサウンド”をサンプラーに取り込んで鳴らしている。紅生姜(ガリ)みたいなモノで、それだけを食べる(聴く)のは嫌だけど、ないと淋しい。これも初披露は2003年10月の渋谷クアトロ。

3.BirdConduct4
 自主制作盤2枚目から続いているバードコンダクトシリーズ4作目。“鳥が指揮してる”というのとチャーリー・パーカーの愛称とをかけている。即興的に弾いたコード進行をMに取込み、それをマウスを使ってタイミングや強弱を“演奏する”という、特許申請中(嘘)の小品。マウスをいじらないと曲は進まないようにプログラミングしてあるわけ。それに合わせてボコーダー(宇宙語)で歌っている。
 パーカッションは妻の三沢泉。外のスタジオで録る予算はあったんだけど、自宅の玄関ホールがなかなかいい音で録れるのと、ワゴン車一台+自宅の6畳を占領しているパーカッション・コレクションの中から様々な楽器をチョイスし放題、ということで自宅で録音。この曲ではウッド系で統一、といってもパーカッション全体にフランジャーかけちゃったけど。

4.INDUSTRIAL
 ネタとしては2002年秋頃からやってるので、ライブで耳にされた方も多いと思いますが、アルバムに収録するにあたってA-B-Cの3部構成にまとめ、新たな作曲も加えて仕上げた。冒頭のコントラバス・フレーズは、クレジットにもあるようにロン・カーター氏による許諾サンプルを切り刻み組み合わせたもの。とは言っても1オクターブ以下で鳴らしているサンプルもあるので、生ベースでは再現できないリフになっている。
 デュオフォニックのシンセでひとしきりソロをとった後、B部はサックスにバトンタッチ。ピアノのバッキングは、僕が自宅で弾いたものをCD-Rに焼いて菊地さんにCDJプレイしてもらっているので、生演奏とは微妙にニュアンスが違う(そこが重要)。ドラムパターンは、藤井信雄氏のスイング4拍子に対してマシーンの方は3拍子、という風に整合性のとれたポリリズムになっている。 C部のメロディはサックスでユニゾンしようとしたら音域を越えていたため、テナーとソプラノを組み合わせて演奏してもらっている。スタジオだからできたものの、ライブではどうしようかな。

5.RITUAL(Quoted Tanzanian Traditional Song "Marimba")
 複数のバスドラを組み合わせた、ダークなアフロ・チューン(3連系4拍子)。これを聴いて「あれ?」と思われた方は、僕のサイト中「AfroPoly」を熱心に聴かれているか、よほどアフリカ音楽に精通している方に違いない。そう、タンザニアの土着音楽「マリンバ」のリフを敬意を込めて引用しているのだ。それだけではなく、この曲には結果的にいろいろなトリビュートが含まれている。リフの音色は電子音楽黎明期のヒットチューン「ポップコーン」(ホット・バター)の音を真似ているし、ローズ&オルガンによる即興的な絡みは「イン・ア・サイレント・ウェイ」。エイフェックス・ツインなどの音響作品にも影響を受けていて、しかもアフロ(こんなにバラしちゃって、俺って人が良すぎる?)。ちなみに、ローズもオルガンもテイク・ワンだけど、ローズの15秒間ほどどうしても納得いかない部分があってパンチインし直し、45回目にやっとOKテイクが録れた。サックス・ソロには後でピッチシフター&フィルターをかけたが、菊地さん曰く「あれ?これ坪口のソロみたいだね」。二人の音使いは音符にすると似ているのかな。

6.ALIENS 8 VIEWS
 続いて3連系4拍子“ドラムンベース風味のアフロ”。RITUALが前菜でこちらがメインディッシュという感じか。それにしても今作の方がよっぽど「VOGUE AFRICA」してると思うんだけど、菊地さん1作分フライングしたな(笑)。それはさておき、この曲の冒頭、中間、エンディングのアコーディオン系のリフは坪口の作曲、それ以外のシンセリード+サックス・メロwithコード進行の部分は、菊地さんに構想を伝えた上で(後でハーモナイズするので、いろんなキーやモードが出てきて欲しい等)アドリブで吹いてもらったラインをそのまま生かし、採譜しハーモナイズした。コードを付けていく過程で感動のあまり一人で泣きそうになったけど(苦笑)、出来上がってみると割とクールだな。やはりMの打ち込みが淡々としているからだろう。2004年3月末のトラックダウン(ミックス)直前に完成した、いわば書き下ろしトラックで、アルバムのタイトル・チューン。これオラシオとかと生で演ったら盛り上がるだろうな。

7.BirdConduct3
 バードコンダクトシリーズ3作目。こちらの方が4.よりも幾分メロディアスなので、ソプラノサックスでメロをとってもらい、パーカッションは金属系でアプローチ。後半登場するドラムは、Mでやっているように見せかけて実はリアルタイムに叩いて打ち込んだもの。マシーンの効果が人間(ていうか宇宙人)に還元されているわけだ。その他の操作(演奏)に関しては4.同様M with マウス。ちなみに4.はメロディーがアナログ、ベースがデジタルシンセであったのに対し、こちらはメロがデジタルでベースがアナログ、という風に差をつけている。ってこんな話、マニアックすぎてつまんないよね(笑)。

8.HOUSE
 4つ打ちハウス。もうそのまんまのタイトルだが、こういった定型ビートだと、途中からのMによるランダマイズ効果がよくわかると思う。多重力が売り?のTZBがハウスなんて意外だな、と思われるかもしれないが、第二期SPANK HAPPYの本デビュー前のオケを菊地さんと二人で量産した経験がここに生きていると思う。僕は性格的には自己内宇宙ドラムンベース型(笑)だけど、クラブイベントに行くと圧倒的にハウスで踊ってしまうんだな。意外と地球人っぽいでしょ。
 さて、この曲の主役は途中から出てくる“シンセの王様”ミニムーグによるベース。ライブではベースだけCD-Rに焼いてCDJで菊地さんがプレイ(変なポイントでLOOPさせたり)するという新手法をとっていたが、本作では真っ当に弾き直してしまった。これもMやCDJの効果を人間に還元した感じで、ランダムだけどグルーブしている感じが新鮮でしょ。初披露は2003年10月の渋谷クアトロで、ブレイク後の極楽浄土シーン(?)も、その時に即興で弾いたコード進行をそのまま生かしている。あのクアトロでのeweイベントは、数々のアイデアが産み落とされた有意義なパフォーマンスだったわけだ。

*        *        *

 てな具合で、坪口&菊地二人体制以降、純粋な2作目が完成した。1作目『Cool Cluster』が、「Mってこんなにランダムにできるし、コラージュ感いっぱいでしょ!」と言わんばかりに、TZBのプレゼン色が濃かったのに比べ、随分とストイックなサウンドに成長したのではないか。僕らが“JAZZ”を根底においていることは間違いないが、TZBでは特に個人技のバトルなんていう意識はなく、サウンド全体で“絵画”として表現していることをこのアルバムで感じていただければと思う。TZBにおいて“ジャズ感”はフィーリングとして自然とにじみ出るので十分。もうひとつ、先にも述べたとおり、我々の場合レコーディングして発表したものをライブで再現、という順序ではなく、即興中心のライブで培った音楽性をアルバムに反映する、という形に今のところなっている。ライブが瞬間の生成を重視した“原石”であるのに対し、アルバムは磨き上げた“宝石”と言ってしまおうか。だが、ライブを再開する頃には(2004年7月現在TZBは充電期間)、楽器を演奏する、曲を演奏する、という気分がTZBにも戻り、ライブでも“宝石”の違った輝きをお見せできると思う。




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