| 電子透かし技術とは、画像や音声データを別の形式のデータに変換して、暗号化された情報を組み込み、再び元の画像や音声に戻したもの。コピーしたり編集しても証拠が残る仕組みだ。 |
欧米では、その歴史的背景もあり、通信技術の一分野として、軍事関連の機関を中心に研究が行われてきた。
日本国内では認知度が低く研究は盛んではないが、防衛大学校の松井甲子雄教授が、この分野の第一人者として、電子透かしという言葉が、Steganograpyの説明として普及する以前から、画像深層暗号という用語を用いて、この概念を説明してきた。
一般的な暗号技術をCryptographyと呼ぶのに対し、Steganograpy(ステカノグラフィ)という用語を用いる。
CryptographyとSteganograpyの違いは、一般に暗号と訳されるCryptographyを用いた場合、元の情報は可読なのに対し、暗号化を施した後にはその情報は全く理解不能な文字列(もしくはその他の情報)に変換されてしまう。
そのため、その情報を入手したものは、その情報が暗号化されたことを知覚し、悪意を持った受け手は暗号化の解除を行うためにさまざまな手段を講じるかもしれない。たとえ、DESやRSAといった、非常に安全性の高い暗号化技術も、完璧ではなく、解析されては、暗号鍵の桁数を増やしていくといういたちごっこが続いている。
これに対しSteganograpyでは、元の情報に暗号化を施しても、その情報はまた別の意味ある文章や画像として知覚されるため、情報の受け手は暗号化された情報を意識することもなく、複合化を行う機械すら与えないという特長を持つ。
従来のマルチメディアデータのコンテンツに自信の情報を埋め込む方法
(1) 特定のフォーマットを利用し、ヘッダ領域などに情報を欠き込む。
欠点
・ 情報の格納されている場所が明らかなため、第三者による情報の改変が容易
・ コンテンツを直接操作されても、それを検知できない
・ コンテンツのフォーマットを変換すると、情報が失われる
・ コンテンツをAD/DA変換すると情報が失われる
(2) データベースとコンテンツをリンクさせる
欠点
・データへのリンク先はコンテンツそのものではなく、一般にコンテンツを含むファイルに対して行われるため、コンテンツの不正な改ざんに弱い
・データベースと連携したシステム内での、限定的な用途でしか利用できない。
電子透かしにより埋め込まれた情報
・コンテンツそのものに情報が埋め込まれているため、データのフォーマットの変換後もその情報は失われない
・コンテンツが加工されても情報は残る
・コンテンツに加えられた加工を検知できる
・情報を管理するために外部にデータベースなどを構築する必要がない
・既存のデータフォーマットをそのまま利用できるため、従来のアプリケーションに変更を加えることなくコンテンツの利用が可能である
・埋め込まれたデータを、特定の利用者のみが利用できるように設定することができる
データ管理者がユーザに著作物を配布する際、著作物に対して、著作者やユー ザIDなどの情報を透かし情報として埋め込んでおく。 透かし情報を取り除こうとすると著作物の質が落ちてしまうようになっており、 またデータ圧縮などの操作を施しても透かし情報は失われないようになってい る。 管理者は不正コピーを発 見した時、透かし情報を確認することによりどのユーザが不正を行ったかを特 定することができる。
現在の研究課題
埋め込むデータ量の最適化。
より通信量の少ないプロトコルの設計。
この冗長度を利用して、情報の埋め込みに利用することを考えてみる。各色の値は0から255までの値を取ることが可能であるが、この値を0と1に対応させるには、
画像の透かし情報の埋め込みには、音声ファイルへの埋め込みにも使われるウェーブレット変換を用いた手法や、JPEGファイルのDCT(離散コサイン変換)圧縮を利用した方法もある。
もっとも簡単なデータ埋め込み方法は標本化を行った情報の下位ビットを捜査して情報を埋め込む手法である。この方法は、画像データの画素値を直接捜査する手法と似ているが、透かし情報への攻撃に対する耐性が低く、雑音やサンプリングレートの変更により情報が失われてしまうなどの欠点がある。しかし、埋め込み処理の計算量が少ないため、リアルタイム処理に適している。
音声データへのデータ埋め込みには、フーリエ変換やウェーブレット変換を用いた方法もある。この2つの技術は波のような形式のデータを分析する手法だが、そこで得られた係数情報を操作することにより透かし情報を埋め込むことができる。これらの手法では、透かし情報に対する攻撃にも強いが、計算量が多いため、リアルタイム処理には向かない。
また、インターネット上ではデータ量を減らすため、音声圧縮を行うファイル形式が多く存在するが、圧縮プロトコルを利用したときに使用される係数情報や制御情報を利用して情報を埋め込む手法もある。
以上、専門的な説明は省略して説明した。
今後は、デジタル衛星放送時代に象徴されるように、デジタル情報の動画の配信が本格的に行われていくが、標準フォーマットとして利用される動画の圧縮形式、MPEGを利用した動画への電子透かしの実用化にも期待がかかっている。