第91回、ウゴウゴ・イナラガヤ・スペシャル



2005年10月1日23:30から0:30まで


(Dave Clark Fiveのインスト・ナンバー「Theme Without A Name」がかかり、やがてフェイド・アウトされる。)

ハーイ!皆さん、こんばんわ。日本二のGS愛好男、ニーチ・ショウタキがお送りする「ウゴウゴ・イナラガヤ」の時間のタイムがやってまいりました。本日は唐突のようですがグループ・サウンズの雄、ことスパイダースを取り上げてみようと思っています。ひょんなことから興味を持って聴いていたら病み付きになってしまい、えいやあ!という訳で特集を組んでみることになりました。もう皆さんはご存じでしょうが日本のGSブームの中心グループといったらやはりこのスパイダースでしょう。当時はちょっと引いていた部分もあったのですが、いろいろな点で興味深いグループなのでざっと彼等の軌跡を辿ってみようと思い立ちました。先ずはそのデビュー作ともいうべき、この曲からいってみましょう。Let's Go! Furi Furi! The SPIDERS!

フリフリ / スパイダース

これはメンバーのかまやつひろし作曲の3拍子のオリジナル・ロックでB面の「モンキー・ダンス」共々ダンサブルな曲として異色のものでした。今ジャケット写真を見ると7人いるメンバーが一人いないのですが、これはかまやつさんが遅刻してジャケ写撮影に間に合わなかったというもので、なんともはやという感じですね。66年5月リリースのものでした。実はこの曲には英語ヴァージョンというのがあってそれも面白いので聴いてみましょう。「フリフリ'66」という翌年出たものです。

フリフリ'66 / スパイダース

因にデビュー盤「フリフリ」はクラウン・レコードからのリリースで、クラウンからはもう1枚「青春ア・ゴー・ゴー」という映画主題歌も吹き込んでいました。スパイダースは「フリフリ」を世に送りだしたその年、ちょっと実験的とも言うべきこんなエレキ・インストを出していたのです。

越天楽ゴー・ゴー / スパイダース

「越天楽ゴー・ゴー」と名付けられたこの曲は当時のエレキ・ブームと雅楽をカップリングした意欲作であまり評判にはなりませんでしたが、彼等の存在を示した作品となりました。そして僕が最初に注目した曲が次のかまやつ作品でした。

ノー・ノー・ボーイ / スパイダース

えー、これはいい曲ですよね。当時すぐにシングルを買った覚えがあります。66年2月リリースということで当時ビクターの洋楽部門だったフィリップスからのデビュー盤となりました。かまやつひろしの作曲センスのよさを初めて感じ取った作品でした。ちょっといじらしい詞は意外なことにリーダーの田辺昭知が書いていました。そしてスティール・ギターからハモンド・オルガンに転じた大野克夫の演奏が見事な「ヘイ・ボーイ」もとっても好きなナンバーでした。

ヘイ・ボーイ / スパイダース

うーん、これは結構今のバンドがやってもかっこいいナンバーだと思うのですが、だれかやりませんかね?単純な曲ながらアレンジ次第では現代的なものになると思うんですがね。まあ、いいや。そして更にかまやつさんの作曲センスのよさを感じさせるものとして注目した曲が次のナンバーです。

サマー・ガール / スパイダース

「サマー・ガール」。ビーチ・ボーイズのような曲と言われていますが、僕にはコーラスのリフがビートルズの「ガール」を思い起こしてしまいます。かまやつさんのこういう取り入れ方が当時はあまり評価されてなかったのですが、最近になってすごく気になっています。他にもいろいろこうした向こうの曲の解釈曲があるのですがそれは後程紹介するとして次の曲はこの「サマー・ガール」のB面だった曲を紹介してみましょう。「なればいい」という曲です。

なればいい / スパイダース

これも当時はあまり注目していなかったのですが最近気に入っているナンバーです。何でも作詞している人が元ミス日本だとか?単純ですが面白い歌詞だと思いませんか?そして66年9月リリースの次の曲が彼等の最初の大ヒット曲となるのです。

夕陽が泣いている / スパイダース

「夕陽が泣いている」でした。これは作詞・作曲が浜口庫之助というプロの売れっ子作家でここで初めて自作を離れてプロの作家の作品を歌うことになるのです。因にB面の「チビのジュリー」も浜口先生の作品となっておりました。このヒットの勢いでリリースした次作シングルが井上順の歌う「なんとなくなんとなく」でした。

なんとなくなんとなく / スパイダース

中間のセリフがいかにも当時のグループ・サウンズ的な雰囲気を醸し出していたように思えましたが、今聴いてみると「なんとなく」恥ずかしい気持ちになるのは僕だけでしょうか?でも我らがスパイダースはこのシングルのB面にアニマルズのこんな曲を立派にカヴァーして歌っていました。

ブーン・ブーン / スパイダース

かまやつさんのヴォーカル、かっこいいですよね。これにも逸話があって当時立続けに来日したリバプール・サウンズのグループの前座を勤めることが多かった彼等でしたが、アニマルズが来日した時、何とその前座でこの曲をやってしまい本人たちが楽屋から出てきて舞台のそでで観ていたということでした。スパイダースはこの他に多くの洋楽カヴァーをやっておりビートルズをはじめカヴァー曲ばかりで『スパイダース・アルバムNo.2』というものを出しました。その中から僕の大好きなグループ、デイブ・クラーク・ファイヴのこの曲をやっていたのでかけてみたいと思います。

シンキング・オブ・ユー・ベイビー / スパイダース

これは確か安岡力也のいたシャープ・ホークスもやっていたように記憶しています。こういった選曲センスというのもスパイダースの魅力の一つで多分かまやつひろしの個性に負うところが大きかったのでしょう。ファッション面でもかまやつさんの先駆性が光っていましたが、彼等がヨーロッパ・ツアーから帰ってきた67年にはその後GSを代表する衣装となったミニタリー・ルックがジャケ写となった「太陽の翼」もそこそこヒットしました。

太陽の翼 / スパイダース

この曲でファズを初めて使用したとのことでした。楽器やマイク等の機器に関してもスパイダースは新しいものを取り入れることに関してのパイオニアだった訳です。この後、「風が泣いている」「あの虹をつかもう」という職業作家のものを続けざまにリリースしますがこの頃からGSブームに火がついていろいろなグループが出てきた時期でもありました。続いて堺正章のコミカルな側面が出ているこの曲を紹介しましょう。

恋のドクター / スパイダース

これは倉本聡の作詞という「あの虹をつかもう」という初主演映画の主題歌のB面だった曲で♪注射ピュッ、ピュッ♪というところがミソでしたね。こういうユーモアのセンスを持ち合わせていたグループという点でもこのグループは特筆に値するGSだったと思っています。堺正章が歌のうまさと生まれ持ったコメディアン・センスを発揮すれば、もう一人のヴォーカリスト、井上順は若干舌足らずなヴォーカルでバラードを得意としていたようです。

いつまでもどこまでも / スパイダース

このシングルも結構ヒットしましたが、カップリングされた「バン・バン・バン」も好きな人は多かったのではないでしょうか。ということで裏面も紹介しょましょう。

バン・バン・バン / スパイダース

デビュー曲、「フリフリ」の流れを汲むリズミカルなワン・パターン・ソングでした。確かこの曲も英語ヴァージョンがあったと思っていますがそれはLPに収録されているものだったでしょうか。さて68年に入ってGSブームもピークを迎えそんな時にリリースした作品が次の曲でした。

あの時君は若かった / スパイダース

勿論、作曲はかまやつひろしなのですが、この曲どこかで聴いたことがありませんか?そうです、この曲は次の曲を下敷きにして作ったものだと思われますがどんなもんでしょう?

Fools Rush In / Rick Nelson

かまやつさんの作品にはこういったセンスも折り込まれているので今でも楽しめる作品なのだと思っています。そしてこのシングルのB面の曲も実は確信犯なのであります。

もう一度もう一度 / スパイダース

そう、ビーチ・ボーイズの「サーファー・ガール」が入っていましたね。ぼくはこういった扱いの曲が大好きで、これらを「パクリ」とか「盗作」とかいって批難するのは大人気ないと思っています。まあ、そんなことはどうでもいいのですが、スパイダースの特徴の一つがこうしたパロディ精神だったことを強調しておきたいのです。続いて彼等は「真珠の涙」というシングルを発表するのですが、今回はそのB面の曲を取り上げてみましょう。スパイダースで「赤いドレスの女の子」です。

赤いドレスの女の子 / スパイダース

この曲でぼくが感じることは田辺昭知の独特のドラミングでうまいのか下手なのか分からない特徴のあるものでした。続いて彼等は「黒百合の詩/ロックン・ロール・ボーイ」というシングルを出すのですが「黒百合の詩」では大野克夫がエレキ・シタールなんて楽器を弾いていましたね。そして次の曲はテンプターズの松崎由治が作った曲を井上孝之が初めてリード・ヴォーカルをとったものでした。

ガラスの聖女 / スパイダース

ちょっと日本的なイントロで入るあたりが面白かった曲です。B面は「風はいい奴」という井上順のバラード・タッチの曲でこちらもいい出来でした。この辺りに来ると急激なGSブームにも陰りが指してきたとでもいいましょうか、一時ほどの熱狂ぶりはなくなりましたが、スパイダースはこの頃からヴォーカルの堺正章と井上順というタレント性のある二人を前面に出してプロモーションを重ねるようになりました。「涙の日曜日」ではマチャアキが、「夜明けの二人」では順ちゃんがソロ志向の強いシングル盤を出したのですがここではその「夜明けの二人」のB面に入っていたこの曲を取り上げてみましょう。

コケコッコー / スパイダース

ほらね、ミーターズも真っ青のサウンドだったのはないでしょうか。勿論これもかまやつさんの仕掛けが感じられる曲想でコミカルな側面以上にそのサウンドが注目させられる曲でしたね。でもこんな曲がヒットに繋がるとは思えないので更にその後、堺正章をフィーチャリングした「ふたりは今」という曲をリリースするのですがグループとしての活動には限界が出てきたと井上さんの伝記でも語られていました。つまり7人のギャラを巡っての紛争が起り、各メンバーはソロ作品を出すようになってしまいました。その第1弾が堺正章の歌う「明日を祈る」という曲でした。

明日を祈る / 堺正章

これは作曲中村八大、作詞サトウハチローという大御所の作品で後の「さらば恋人」のヒットに繋がる堺正章のソロ・デビューに相応しい曲調でした。さてマチャアキと並んで井上順も「人生はそんなくり返し」というシングルを出すのですが、同時にかまやつひろしも有名なソロ作品を発表することになるのですが、その前にこちらの曲を聴いてもらいましょう。

Lonesome Whistle / Hank Wiliams

ハンク・ウィリアムスの「Lonesome Whistle」でしたが、で、この曲を下敷きに作ったと思われる佳作が次の曲です。

どうにかなるさ / かまやつひろし

うーん、ぼくはこの曲が非常に好きで今回の特集でも絶対この曲は紹介したかったものなのです。カントリー出身のかまやつさんらしい作品で、当時鉄道のキャンペーン・ソングにも使われていたように記憶しております。かまやつさんはこの曲に思い入れがあるとみえ、後に発表した自作カヴァー・アルバムのトップにこの曲を入れていました。さて、そんなことを言っていたらすっかり時間がなくなってきてしまい、次の曲がエンディング曲となってしまいました。これも彼等の傑作だと思っている曲で、これがスパーダースの最後のシングルでもあり、本日の特集の最後の曲ということにさせてください。スパイダースで「エレクトリックおばあちゃ〜ん」でーす。

エレクトリックおばあちゃん / スパイダース

この曲がリリースされた1970年には次のフォーク・ブームや現在のJポップに繋がるシンガー=ソングライターが幅を利かせてきて日本のミュージック・シーンに変化があった年だと思っていますが、この頃からスパイダースを含むグループ・サウンズがフェイド・アウトしていくという憂き目に会うのでした。
駆け足でスパイダースのシングル・リリースを中心にみてきましたがいかがだったでしょうか?ぼくと同じ世代のリアルタイマーの方にとっては異論や違ったフェイバリット・ソングもあったのではないかと思っています。またスパイダースと並んでGSのもう一人の横綱、ブルー・コメッツもこういった形で紹介してみたかったとも思いました。また最近再燃しているゴールデン・カップスの話題も懐かしいものでこの番組でもいろいろ紹介したくなっております。自分にとってグループ・サウンズは普通に通り過ぎたものと思っていましたが、振り返ってみると実に興味深いポップス・ヒストリーとして感じられたということでしょうか。

そんな思い付きでやってしまった番組ですが、何なりとご意見、ご感想等をお寄せいただけたらなあ、と思っています。宛先はこちらになっておりますのでドシドシメールしてください。。
次回は特に決めておりませんのでこんなのやってほしいというリクエストでも構いませんからメールしてみてください。それでは、また次回まで、バイ、バイ!

(バックにやはりDave Clark Fiveのインスト・ナンバーがかかりやがてフェイドアウトされる。)

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