第88回、ウゴウゴ・イナラガヤ・スペシャル



2005年3月6日23:30から0:30まで


(Dave Clark Fiveのインスト・ナンバー「Theme Without A Name」がかかり、やがてフェイド・アウトされる。)

皆さん、こんばんは、日本二の唱歌愛好家、ニーチ・ショウタキがお送りする「ウゴウゴ・イナラガヤ」の時間のタイムがやってまいりました。もうすっかり忘れられたツチノコ番組と化してしまった感がありますが、重い腰を上げて1年半ぶりに番組を再開することにしました。いろいろ問題があるかもしれませんが昔の気持ちに戻ってまた好きな音楽を紹介できたらと思っていますので、どうぞよろしくおつき合いください。さて、本日の特集は以前から深い関心のあったアメリカが誇る大作曲家、スティーヴン・フォスターさんを取り上げてみようと思っています。1826年アメリカ独立記念日と同じ7月4日に生まれ1864年の1月13日、38才で亡くなった作曲家ということですが、興味をもったきっかけ等の動機は後程触れるとして先ず彼のデビュー曲とされているこの曲から聴いてもらいましょう。

Open The Lattice, Love / Nelson Eddy

えーと、この曲はフォスターが18才の時、1844年に発表した「恋人よ窓を開け」という歌でした。実は随分前に「ティオガ・ワルツ」という曲を作っているのですがこの曲は譜面が残っていないので分かりません。フォスター、いかがでしょうか?多分多くの人が学校の音楽の授業で知っている程度ではないかと思われますが、僕もつい最近までは全く関心のない人でした。それがたまたまSP盤でフォスター作品集を聴き、それがとてもいい感じだったのでいろいろ聴いてみたくなったのです。またアメリカのルーツ音楽をいろいろ遡っていくとその源にはこのフォスターさんがいると気がついたからでした。今日は発表年代順に代表的な作品のみを並べてみたいと思いますので知っている曲があったら一緒に歌ってみてください。次の曲は46年に書かれた「よい時代がやってくる」という内容の歌です。

There's A Good Time Coming / Leslie Guinn

うーん、フォスターを聴いていると別にクラシックだとかフォークだとかジャンル分けの必要を感じなくなりますね。初めて聴く曲だと思われるものを最初に持ってきましたので次は超有名なこの曲を紹介することにしましょう。

Oh! Susanne / Nelson Eddy

そう誰でも知っている「おお、スザンナ」でした。1848年発表の曲なので、これがフォスターの初期の代表曲となっています。で、この曲を1970年代になってこの人がカヴァーしていましたよ。

Oh! Susanne / James Taylor

ジェームス・テイラーで「おお、スザンナ」でした。これは彼のデビュー・アルバムに収められていた曲で当時よく聴いていました。更にこの曲はバーズもセカンド・アルバムの中で取り上げていましたよね。

Oh! Susanne / Byrds

つまりこの2つのカヴァーを聴いているとフォスターがいかに現代のミュージシャンに深い影響を与えているのかが分かって大変興味が持てます。JTもバーズもぼくは大好きな人たちなので余計にこの偉大な作曲家の作品に関心を持ったという訳です。そして次の曲も大変有名なナンバーだと思うのですがいかがなもんでしょうか。

De Camptown / Nelson Eddy

日本では「草競馬」として広く一般に知られている曲ですね。原題の「De」は「The」の旧表記でアフリカ系アメリカン特有のアクセントをそのままに表記したもののようです。これは1850年の作品でしたが同じ年に「おお、レミュエル」という曲があるのですが、この曲も美しいバラードなので紹介してみましょう。

Oh! Lemuell / Roger Wagner Chorale

フォスターの曲は大別してミンストレル・ソングと呼ばれるエチオピアン・メロディーのものとパーラー・ソングと呼ばれるバラードもの、そしてその中間に位置するプランテーション・ソングに分けられると物の本に書いてありましたがこの曲はさしずめパーラー・ソングということになるのでしょうかね。要するにバラードもアップ・テンポのものも得意としたということで偉大な作曲家であることが分かりますよね。次も1850年の作品となっております。

Nelly Bly / Roger Wagner Chorale

フォスターの時代でもう一つ注目されることは当時はまだ蓄音機もレコードもなかった時代なので、作曲家は楽譜を売って生計をたてていたということです。シート・ミュージックという概念が生まれたのですが、フォスターの初期の作品は実名で発表されていないものもあったということです。「おお、スザンナ」などはフォスター名義ではなく、楽譜を買い取った出版社のものだったのです。さて次の曲も誰でもが知っている曲ですね。

Old Folks At Home / Nelson Eddy

この曲もよく知られたものですが、面白いのは日本の唱歌として歌われているものは歌詞が原詞と全く違うものになって発表されているということです。例えばこの「Old Folks At Home」は明治の頃日本に唱歌として採用された当初は「あわれの少女」とか「造化のわざ」といった全然違うタイトルと歌詞で歌われていたようです。♪はーるかなるスワニー河♪という歌い出しの曲は1947年の頃からのものだったということです。この超有名な曲はビーチ・ボーイズも歌詞を変えて歌っていましたよね。

South Bay Surfer / Beach Boys

実は先日、萩原健太さんのブライアン・スマイル・ツアーの総括イベントで「Beautiful Dreamer」というドキュメント番組を紹介していてその中でブライアンが自分の名前のイニシャルと♪Beautiful Dreamer Wake unto me♪という「BDW」が同じだと指摘するシーンがあって大変興味があったのですが、その時、この曲が頭をよぎったのでした。やっぱりブライアンのルーツにはガーシュインを飛び越してフォスターがいるなと思って聴いてみると面白いカヴァーではないでしょうか。ということで直接、フォスター特集をやってみたい引き金となったのがブライアン・ウィルソンにおける彼の影響という視点だったのですが1850年前後に作った曲にいい曲が多くそれらを続けて紹介することにしましょう。51年の曲で「Sweetly She Sleeps, My Alice」という大変美しい曲です。

Sweetly She Sleeps, My Alice / Thomas Hampson

うーん、いい曲でしたね。さて、次の曲も日本の学校唱歌に取り上げられたものとして知っている方は多いのではないでしょうか。

Massa's In De Cold, Cold Ground / Nelson Eddy

これも当初「春風」とか「夕べの鐘」などというタイトルで歌われていたということです。まあ、「主人は冷たい土の中に」という内容ではちょっと学校向きではなかったのかもしれませんね。この曲が「プランテーション・ソング」の典型のようなものでしょうか。次のナンバーも聴いたことありますよね。

My Old Kentucky Home / Bing Crosby

これは僕の持っているSP盤で紹介しました。この曲もよくアメリカを題材にして歌っているこのシンガーが取り上げていました。

Old Kentucky Home / Randy Newman

ランディ・ニューマンで「Old Kentucky Home」でした。やはりヴァン・ダイク・パークスやランディ・ニューマンはフォスターを自分たちの音楽のルーツと捉えていたのではないでしょうか。他にもフォスターの影響を受けているシンガーはたくさんいるのではないでしょうか。1853年に作った曲「老犬トレイ」というものもかけてみましょうか。

Old Dog Tray / Nelson Eddy

次の曲もSP盤からビング・クロスビーが歌う「金髪のジェニー」を聴いてもらいましょう。

I Dream Of Jeanie With The Light Brown Hair / Bing Crosby

この曲はフォスターが1850年にジェーン・マクダウェルという女性と結婚した直後に作った曲でフォスターは彼女のことをイメージしてこの曲を作ったのでした。二人の間にはマリアンという女の子が生まれたのですが結婚生活はそんなに幸せなものではなかったようです。で次のような曲を書いたのでしょうか。

Hard Times Come Again No More / Thomas Hampson

この曲もフォスターの代表曲となっているようですが、これを発表した1854年の頃は作曲家として生計を立てていくフォスターにとって間もなく南北戦争が始まる時代背景は辛いものに写ったのかもしれません。次の「Come Where My Love」という曲も大変いい曲だと思いますので紹介してみましょう。

Come Where My Love / Nelson Eddy

あれ?どっかで聴いたことのあるフレーズが出てきましたね。ブライアン好きの人は分かるでしょう?まあ、そんなことはどうでもいいことですが更に1860年になってこれも代表曲とされているこの曲を作曲しているのです。

Old Black Joe / Nelson Eddy

この曲はフォスターが再度ニュー・ヨークへ移り住む年に作られています。ちなみにこの曲も日本では最初「桜散る」とかいう曲だったと聞いています。感傷的な曲ばかり並べてもなんなのでこんな曲も紹介しておきましょう。1862年の作品で「That's What's The Matter」という曲です。

That's What's The Matter / Thomas Hampson

もうこのあたりに来ると後期の作品という感じですがこの時期、フォスターは実に多くの曲を作曲しています。多産時代だったというわけですがそんな中から歌詞が面白いこの曲を選んでみました。

There Are Plenty Of Fish In The Sea / Leslie Guinn

これは「海には魚がたっぷりいる」とたかをくくっていると年とともに色気が消え男に見向きもされなくなってしまう女の心境を歌ったものということです。尚フォスターは作曲・作詞を両方やる場合と曲だけを作る場合があるのですがこの曲は作曲だけでした。次の曲もクーパーさんという人の作詞にフォスターが曲をつけたものです。

Katy Bell / Roger Wagner Chorale

ニュー・ヨーク時代に親交のあったジョージ・クーパーという詩人はフォスターと20数曲作品を残しています。そしてフォスターはニュー・ヨークで寂しい最期を迎えるわけですが、その遺作ともいわれているこの曲で本日の特集はお開きとしましょう。

Beautiful Dreamer / Richard Brook

実はこの曲が僕がフォスター・ミュージックに興味を持つようになったきっかけの曲でした。家にあったSP盤でこの曲を聴いたのが初体験だったのです。ということでフォスターは38才という若さでこの世を去ったのですが彼が残した多くの作品は現在でも十分に鑑賞に値するものだというのが本日の特集の結論です。もしこの放送を聴いてフォスターの作品に興味を持った方がいましたら、是非なんらかの作品集を聴いてみてください。尚、本日使用したSP、レコード、CDは家にあるものだけでもっといい録音や演奏のものがあるかもしれません。いずれそういった別のヴァージョンも集めてみたいと思っています。

ということで久々の疑似放送はいかがでしたでしょうか。まだ本人がペースを取り戻していない状況なのですが、また関心のあるテーマが出てきたら続けてみたいと思っています。お願いがあるのですが、是非忌憚のないご意見やご批判、ご質問等をお寄せください。こんな特集をやってくださいというリクエストでも構いませんからどしどしメールをお寄せください。宛先はこちらになっております。それではまた気が向いたら更新しますのでよろしくお願いしまーす、それではまた、バイ、バイ!

(バックにDave Clark Fiveのインスト・ナンバー「Theme Without A Name」がかかりやがてフェイドアウトされる。)


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