コンサートレポート

幻のハックルバックが今トーケージとして甦りました。


1999年2月23日(火) 渋谷クラブクワトロにて



99年初めてのライブ鑑賞は鈴木茂率いる伝説のバンド、ハックルバックと南佳孝のジョイントという我々の世代にはたまらないメニューとなりました。この情報は早くから入手していて、チケットもある方のご尽力にすがってしっかり確保していたのでどんなコンサートになるのか興味津々で当日を迎えました。

先ず舞台に南佳孝が登場し、アコースティックなナンバー、「ろっかばいまいべいびー」をギター一つで歌い出し、それに引き続いて鈴木茂がおもむろに登場、わんやの歓声を浴びて「ソバカスのある少女」へと歌いつながれ、何とも至福な時間を約束させてくれるようなスタートとなりました。その後、南佳孝が「ミッドナイト・ラヴ・コール」を含む数曲歌った後、小林克也のMCにより昔のハックルバックの復活を告げる演奏が繰り広げられました。演奏ナンバーは主にあの『バンドワゴン』からのものと、幻のハックルバックというCDにも入っていたインスト・ナンバーを中心にたっぷり聴かせてくれました。その後、佐藤博のエルヴィス・ナンバー(「ザッツ・オール・ライト」)に始まってアニマルズの「ブーン・ブーン・ブーン」、ビートルズの「アイ・ソウ・ハー・スタンディング・ゼア」などを乗りのよいバック・サポートと共に披露してくれました。ドラムスには山下達郎のコンサートでも有名な青山純が、アナザー・ギターには市川祥治が参加し、時にグルーブ感のあるリズムとファンキーなギター・プレイを存分に聴かせてくれました。特に『バンドワゴン』の中の曲はよく知っていたので「八月の匂い」や「砂の女」などを一緒に口ずさんでしまいました。「100ワットの恋人」などは♪ショーケンがどんなに♪の歌詞のところをキムタクに直して歌っていましたが、そんなところに何だか10数年の時代の流れを感じてしまいました。

私の見ていた位置からは丁度左の柱が邪魔になって、肝心の茂氏の体半分しか見えませんでしたが、そのスローハンドの左手と時折みせる往年のアクションに、そのサウンドを体験できただけで満足してしまいました。チケットを手配してくれた方にこの場を借りて感謝したい心境です。会場にはいろいろな関係者、ミュージシャン、昔の仲間らしき人達が多く、あの林立夫や小原礼も目にすることができました。何でも細野さんも会場に来ていたらしく、最後のアンコールの時は浜口茂外也(おやじさん、そっくりになっていました!)も参加してのセッションとなりました。やはりこの世代のミュージシャンって20年経っても自分にとっては一番安心できる人達だな、とつくづく思ってしまいました。

思えば私がハックルバックを初めて観たのはあのマイナーな会場、目黒区民ホールでのデビュー・コンサート(2月11日のBAY-AREA FIRST CONCERT)だったことは、今にして思うと大変ラッキーだったと言わざるをえません。確か鈴木茂がアメリカ録音のソロ・アルバムを出した直後で、あの中の曲をどういうバック・ミュージシャンで演奏するかの興味がありました。そしてあの佐藤博のブルース・キーボード、林敏明のバスドラのよく効いたドラムス、そして一番衝撃的だったのは当時、全く聞いたことのなかったチョッパー・ベースを奏でる田中章弘の存在でした。その後、75年のファースト&ラスト・コンサートが確か最後のコンサートで、私はハックルバックのデビュー・コンサートとラスト・コンサートの両方を観ていることを自慢していたものでした。

その4人のメンバーの内、3人がこの会場にいて今尚健在で力強い演奏を聴かせてくれている。(トンことドラムス担当だった林敏明氏もこの日は演奏者としてではなく、マネージメントを担当する実業家として登場しました。)この安定感、サウンドの厚さ、確かなテクニック、どれをとっても今の若手ミュージシャンを凌駕してあまりあるものを感じてしまいました。私がフォローしているムーンライダーズもそうなのですが、中年バンドの持つデメリットはみじんも感じられない演奏はもっとライブを重ねて今のバンドを蹴散らしてもらいたいと過激に思うほどでした。願わくば昔のレパートリーで盛り上がるのではなく、新しいオリジナルで観客を唸らせてもらいたいと思いました。

帰りにご一緒した石原さん夫妻や高橋さん、それに特別ゲストとして森さん親子と合流して例によって合評会のようなものになってしまいました。片や森さん、私のリアル・タイマー組みと高橋さん、石原さんのその後の世代の方の感じ方を比較しながら、時に90年代を自認する森さんの息子さんなどを交え、大変楽しい語らいの一時でした。

今度は4月14日に青山CAYのでライブの予定ですが、できればまたあの雰囲気を味わいたいと思っておりますので万難を排して出かけてみたいと思っています。


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