BUNRAKU'S FAVARITE STORY "ATAGOYAMA"

ここでは今月の一席と題して古典落語の中から気に入ったものを紹介していきます。
今月の噺しは『愛宕山』 という演題です。


八代目 桂 文楽 Katsura Bunraku


(略歴)本名:並河益義。明治25年11月3日生まれ。大正9年5月、六代目桂文楽を襲名。縁起をかついで末広がりの八代目とする。以来、正統派の東京落語の中心として活躍。完成度の高い古典落語の範となった。もちねたが少なく、何度も練り直しては高座にかけ名人芸を究めた。昭和46年8月31日の高座では、「大仏餅」を途中で絶句してしまい、「勉強しなおしてまいります」といって降り、それが最後の高座となってしまった。同年12月11日、79歳で没。代表作には「明烏」「船徳」「素人鰻」「富久」「つるつる」「心眼」「愛宕山」等がある。

(ストーリー)いわゆる幇間物で、たいこもちの一八が旦那衆に京都の愛宕山(あたごさん)へ遊山に連れていってもらう。そこで、小判をブーメランのように飛ばして遊んでいると、それが谷底へ落ちてしまい、その小判を取ってこいと言われる。深い谷へ降りて取ってきたら金はやるといわれ、茶屋の傘をかりてパラシュートのようにして降り、小判を見つける。でもどうやって上がってくるのかと尋ねられ、やけくそで着物を割いて縄にして、竹のしなりを利用してやっとの思いではい上がってくる。「やー、一八、助かったな」「えー、この通りでござい」「で、金はどうした?」「あ、谷底に忘れてきた。」というのがおち。

(解説)もとは上方落語。谷底に笠で降りるくだりは現実的には無理な設定だがあまり違和感を感じない。いわば漫画的でもある。こういった幇間役をやらせたら文楽に適う者はいないだろう。何でも山を登るシーンでは下駄に小石がからむ様までを演じ分けたといわれる程。迫真の演技が目に浮かぶようだ。


私が選ぶ古典落語百選
ここで突然ですが私の落語百選を挙げてみます。いくつご存じでしょうか。

●目次(アイウエオ順)

青菜/あくび指南/明烏/愛宕山/穴どろ/あわびのし/幾代餅/居残り佐平次/鰻の幇間/うなぎ屋/厩火事/大山詣り/お直し/お化け長屋/お初徳兵衛/お藤松五郎/御神酒徳利/お見立て/親子酒/火焔太鼓/笠碁/鰍沢/火事息子/ガマの油/紙入れ/替り目/祇園祭/紀州/首ったけ/稽古屋/強情灸/甲府い/黄金餅/小言念仏/駒長/小間物屋政談/子別れ/権兵衛狸/ざこ八/三軒長屋/三年目/三枚起請/品川心中/死神/芝浜/素人うなぎ/心眼/酢豆腐/疝気の虫/千両みかん/大工調べ/狸さい/探偵うどん/千早ふる/乳房榎/茶の湯/付き馬/つき屋幸兵衛/鶴亀/つるつる/道具屋/唐茄子屋政談/富久/豊竹屋/中村仲蔵/長屋の花見/泣き塩/夏の医者/二階ぞめき/抜け雀/猫の皿/寝床/野ざらし/はてなの茶碗/浜野矩随/一人酒盛/干物箱/百年目/ふたなり/船徳/文違い/風呂敷/文七元結/へっつい幽霊/牡丹灯篭/まんじゅうこわい/宮戸川/妄馬/目黒のさんま/元犬/百川/弥次郎/柳田格之進/やぶ医者/夢金/夢の酒/らくだ/六尺棒/ろくろ首/藁人形


マイ・フェイバリット・落語家

五代目、古今亭志ん生

ここでは「マイ・フェイバリット・落語家」と題して昭和の名人たちを紹介しましょう。その第1回目はやはりこの師匠のご登場です。五代目、古今亭志ん生師匠です。本名、美濃部孝蔵。度重なる改名の後、昭和14年、五代目志ん生を襲名。その天才的な語り口と親しみやすい人柄で多くのフアンを持っています。落語界の長島茂雄といった感じでしょうか。(1890 - 1973)


六代目、三遊亭圓生

昭和の名人をご紹介するシリーズの第2回は六代目、三遊亭圓生師匠です。多くの演目と著作を残し、昭和の名人というにふさわしい技量の持ち主でした。子供の頃から義太夫を習い、広い芸歴を誇り、どの話しも平均点以上という当りはずれのない安定した実力が光っていました。特に人情噺、怪談ものが得意で、圓生の前に圓生なし、圓生の後に圓生なしと言われました。本名、山崎松尾。(1899 - 1979)


八代目、桂文楽

昭和の三名人といったら志ん生、圓生とこの八代目、桂文楽師匠のことです。その住所の「黒門町」の呼び名で有名な文楽師匠の特徴は何といっても殊玉の作品を何度も練り上げてから高座にかける完成度の高さです。落語を芸術の域に高めたその功績は特筆に値します。本名、並河益蔵。(1892 - 1971)


三代目、三遊亭金馬

本名、加藤専太郎。三代目、三遊亭金馬師匠の話しです。東宝名人会と落語協会の対立により、定席を持てず主にラジオ寄席で活躍した庶民派。古典は元より新作落語にも力を入れ、わかりやすい落語を売り物としました。(1894 - 1964)


三代目、桂三木助

昭和の名人落語家をご紹介するシリーズの第5回は三代目、桂三木助師匠です。活躍の時期が短く、どちらかというと地味な落語家でしたが、とぼけた語り口に独特の魅力のある師匠でした。NHKラジオの「とんち教室」のレギュラーでも有名でしたね。本名:小林七郎。(1901 - 1961)


三代目、春風亭柳好

粋な落語家といったらすぐに思いつくのが三代目、春風亭柳好師匠ですね。リズミカル、明るい芸風が売り物で、一時、幇間(たいこもち)もやっていた経験があるお方です。『野ざらし』と『蟇の油』が十八番でした。本名。松本亀太郎。(1887 - 1956)


八代目、三遊亭可楽

飄々とした語り口でやや地味な落語家でしたが、昭和の名人紹介の最後は八代目、三遊亭可楽師匠です。本名、麹池元吉。いわゆる天狗連(セミプロの落語家)から弟子入りして落語家になった人で、その評価も晩年になってからでした。人にお世辞をいうことが苦手だったので出世も遅れたといわれていますがいい芸人でした。(1892 - 1964)

インデックス・ページへリンク・ページへ