FIFTH ELEMENT HAS A MANY INTERESTING ELEMENTS.

これは久し振りに楽しい未来コメディですね。


(感想文)このリュック・ベンソン監督の話題作は確かにいろいろな面白さを持った娯楽性の豊かな映画でした。
先ず画面を観て頭に浮かんだものに『ブレード・ランナー』と『未来世紀ブラジル』の2本のSF映画がありました。特にテリー・ギリアムの『未来世紀ブラジル』は映画の趣きが違う作品ですが、共通の娯楽性を持っていて、甲乙つけがたい出来の映画でした。我々の未来はどうなるのか分かりませんが、映画の中で想像する世界とはこんな両作にみられる科学の進歩と退廃とが一緒になった世界なのでしょうか。そんな未来の想像を豊かにするにはとてもいい作品でした。
何だか謎めいたフィフス・エレメントというテーマよりも、全体を包むパロディ精神や派手なアクションにみられるこの監督のサービス精神の一端を垣間みたような気がしました。そう、リュック・ベンソンという人は元来、『サブウェイ』や『レオン』などにしてもある一つのトーンに縛られていて、その緊張感が良くも悪くも作品を硬派なものに仕上げていたように思われます。ところがこの新作はいわゆるハリウッド・ムーヴィーの典型のような豪華な仕掛けに、最新のSFXを駆使した贅沢な作りで、観る側に下手な理屈や批判眼を与えない明るいリズムを持っている映画でした。
これは明らかに笑いをねらったコメディでしょう。いたる所にその要素が散りばめられていて、安心して最後まで楽しむことができました。その証拠に普段はどうしようもない悪役で登場するゲリー・オールドマンの役どころも、悪役にもかかわらず、どこかコケティッシュな面が出ていました。勿論その笑いに大きく貢献していたのは変なDJのルビー役の俳優でしたが、ブルース・ウィルスさえもタフな役柄以外にも、こんな面白い一面があったのかと思う程の変身ぶりでした。
これはきっと未来の状況をリアルさだけでなくドラマトゥルギーとして見せる効果を発揮していたのでしょうか。難しいことはともかく、充分に映画の面白さを満喫させてくれた作品として、評価したいと思います。
特記すべき点がもう一つあります。それはこの作品全体の衣装を担当したジャン=ポール・ゴルティエのセンスの良さが光っていた点です。ファッションの世界のことにはとんと疎いのですが、この再生によって生まれた異星人、リールーの最初のコスチュームやスチュワーデス、オペラ歌手の出でたちに遠い未来の世界をほうふつさせるイマジネーションがあったように思えました。このあたりがフランス映画の力といえるのでしょうか。とにかくリュック・ベンソン監督の次のメッセージにこの作品の全てが語られているように思えました。

「この作品について、深刻なテーマというものはない。僕はただ、観客の皆さんが2時間という映画の時間の中で、現実の世を忘れて楽しんでもらえたらとてもうれしい」


リュック・ベンソン監督、1997年アメリカ・フランス作品。
(キャスト)コーベン・ダラス:ブルース・ウィルス、ゾーク:ゲイリー・オールドマン、リールー:ミラ・ジョヴォヴィッチ、コーネリアス;イアン・ホルム、ルビー・ロッド:クリス・タッカー、ビリー:リューク・ベリー他

9月13日から松竹・東急洋画系にて公開中。


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