ジェイムス・テイラー・スペシャル

My Favorite Singer-Songwriter, James Taylor


97年1月の特集は昨年12月の本日の映像という日変わりのコーナーに連載されたジェイムス・テイラー・スペシャルです。よく考えてみると、自分が一番レコードを聴いていた時期が1970年代で、その頃のアコースティック・ギター・ブームの火つけ役は間違いなくジェイムス・テイラーだったような気がしています。その特集を今やることは、その頃のことが思い出されて楽しいものです。
簡単にその略歴を紹介しましょう。1948年3月12日、マサセーチュセッツ州、ボストンの生まれ。その後、ノース・キャロライナへ移り、静かな日々を送っていたが、やがて盟友となるダニー・クーチに誘われてニューヨークへいき、フライング・マシーンというバンドを結成する。68年にイギリスに渡り、ピーター・アッシャーのもと、アルバムを出す。その後はアルバムの紹介にあるように、コンスタントに作品を重ねていった。71年には『断絶』という映画でビーチ・ボーイズのデニス・ウィルソンらと共演もしている。

James Taylor (1968)
まずはビートルズのレーベルとして有名なアップルから発売された第一作。プロデューサーにピーター・アッシャーをむかえ、ポール・マッカートニィーも一曲だけベースで参加しています。この時のピーター・アッシャーとの出会いが後のサウンドに大きく影響しているように思われます。ジョージ・ハリスンと同じタイトルの曲があったり、曲と曲のつなぎにギター・ソロやハープの調べが入って流れで聴くアルバムです。



Sweet Baby James (1970)
このアルバムの中の「ファイア・アンド・レイン」という曲が大ヒットして、シンガーソング・ライター・ブームを巻き起こした実質的なデビュー・アルバム。当時(1970年頃)のフォーク・ギター雑誌には必ずこのアルバムの曲のスコアが載っていたものです。そのアコースティックなサウンドばかりでなく、ジャケットの精悍な姿にも新しいスターを予感させるものがあったのでしょう。まさに記念すべきというタイトルがぴったりあてはまるロックの名盤です。



Mud Slide Slim And The Blue Horizon (1971)
私のJT体験としては、このアルバムがデピュー盤でした。高田馬場のタイムという中古レコード屋で、何げなく手にしたこのジャケットにその後の長いつきあいを予感させる何かがあったのかも。買ったその足で吉祥寺のぐわらん堂という高田渡やシバがいた喫茶店へ行ってかけてもらったのを今でも覚えています。その時、若林くんという、後の武蔵野タンポポ楽団の人が異様に興味を示したのを覚えています。



One Man Dog (1972)
来日記念盤として発売された4作目はジャケットの裏の写真が証明するように、彼の自宅のスタジオで録音されたもの。ゆったりとして聴ける反面、ジョン・マクラグリンとの共作などあって、新しい試みもみられる。このレコード発売直後の来日公演(新宿・厚生年金会館)は今でもすぐ記憶が甦えりますが、最後にスペシャル.ゲストとして当時新婚ほやほやのカーリー・サイモンが飛び入りで出演して「You're So Vain」をデュエットして大喝采を浴びたのでした。



Walking Man (1974)
この『ウォーキング・マン』というレコードは、今までに比べるとちょっと地味という印象があります。ジョン・レノンのバックをやっていたニューヨークのセッションマン達(ディビッド・スピノザはジョンの『ヌートピア宣言』でギターを担当しています。)とうまくまとめたサウンド作りが特徴ですが、ピーター・アッシャーのようなアコースティックな面を強調したプロデュースの方が、JTには合っているように思えます。



Gorilla (1975)
ジェイムス・テイラーの6枚目のアルバムは『ゴリラ』というちょっと滑稽なタイトルのもの。ワーナー・ブラザーズを代表するレニー・ワロンカーとラス・タイトルマンのプロデュースにより前作よりも更に洗練されたサウンドに仕上がっています。因みにスマッシュ・ヒットした曲、「How Sweet It Is (To Be Loved By You)」はマーヴィン・ゲイのカヴァー・ヴァージョン。



In The Pocket (1976)
ジェイムス・テイラーの76年の作品『イン・ザ・ポケット』はさりげないアルバムだが結構親しめる内容でよく聴くアルバムです。前作と同じプロデューサー・コンビが関わっているせいでしょうか、一段と聴きやすく、これといったヒット曲がないのに楽しめるのは何故でしょう。スティービー・ワンダーとの共作ではスティービーのハーモニカも聴くことができます。



JT (1977)
数あるジェイムス・テイラーのアルバムの中で、この『JT』という作品が一番好きです。何といってもグラミー賞をとった「ハンディ・マン」のよさが目立ちます。ジェイムス・テイラーという人はカヴァー・ヴァージョンにその持ち味を出す数少ないシンガーです(もう一人、リンダ・ロンシュタットがいますが)。この「ハンディ・マン」(オリジナルはジミー・ジョーンズ)と「エヴリディ」(バディ・ホリー)とアート・ガーファンクルとのデュエット曲「ワンダフル・ワールド」(サム・クック)の3曲がカヴァー・ヴァージョンのクリーンアップだと思いませんか。



Flag (1979)
この『フラッグ』はジェイムス・テイラーのアルバムの中では実験作ともいうべき異色の出来です。フランス語の歌詞があったり、ビートルズの曲(「デイ・トリッパー」)をカバーしていたり、ちょっと違う自分を表現しようという試みがみられます。それをよいと思うか、本来のJTらしさを求めるかで評価が分かれる気がします。因みに私は後者の方ですが。



Dad Loves His Work (1981)
カーリー・サイモンとの離婚につながったいきさつが吐露されているアルバム。タイトルの『Dad Loves His Work(邦題はダディーズ・スマイル)』というのは家庭より仕事をとるという意味だったのでしょうか。しかしそのサウンドは決してそんな背景を感じさせないマイルドな響きに聞こえます。特にJ.D.Southerとの共作の「想い出の町」にピーター・アッシャーの影が感じられ、好感が持てます。




このコーナーで関心を持たれた方は彼のホームページ、James Taylor Web Siteがありますのでそちらをご覧ください。70年代のシンガー・ソングライターの中でも特に愛着のあったシンガーでしたが、この後のコーナーではやはりこの頃活躍していたJT関連の人のアルバムを紹介します。


その他のオリジナル・アルバム
  • That's Why I'm Here (1985)
  • Never Die Young (1988)
  • New Moon Shine (1991)
  • Sandclock (1997)
  • (LIVE) (1993)
  • (BEST LIVE) (1994)
  • Hourglass (1997)
  • Greatest Hits Volume 2 (2000)
  • October Road (2002)
  • The Best of James Taylor (2003)
  • James Taylor at Christmas (2006)
  • One Man Band(2007)
  • Covers(2008)
  • Other Covers(2009)