コンサートレポート

約一年ぶりのライヴでしたがやっぱり日本一のライブ・バンドは健在でした。

ACOUSTIC MACHINE & ELECTRIC DREAM


1999年10月13日(水) 渋谷クラブ・クアトロにて



ムーンライダーズのライヴがあるというので事前にチケットを買ってこの日に備えていました。都合2日連続で行った2日目の方だけ見たのですが、前日のアコースティック・ライヴはどんな構成だったか分かりませんがエレキなこの日は大ロック大会ともいうべきギンギンのステージでした。

先ず狭い会場は始まる前から熱気で溢れており、立ち見を余儀なくされた我々中年探偵団にとっては辛い鑑賞となりました。注文の多い我が家の同居人は既にどの位置で見たらいいかを物色しており、身長の不足を階段の真ん中で補おうと必死の攻防でした。今回一緒に行った仲間は我が家が2名と阿部家の親子2名というメンバーで、初参加の恭平君はベース・プレーヤーの現役高校生で私のよき音楽理解者でもありました。

ステージは先ずあの「月面讃歌」のテーマ曲が流れる中メンバーが登場し、「ドントラ」を長めのアレンジで聴かせてくれました。コーラスの部分では「Don't trust anyone over "45"」と変えて歌っていて、なかなか芸が細かいな、と思いました。続いては「スパークリング・ジェントルマン」をこれも原曲とはかけ離れたアレンジで演奏してくれ、いつまでたってもアヴァン・ギャルドな精神を持ち続けているグループなと感心しました。

続いて「僕は負けそうだ」を博文君のヴォーカルで淡々と歌ってくれ、「月夜のドライブ」「月の爪」という曲を演奏しました。博文さんのヴォーカルものはレコードの方がすんなり聴けるのではないかと思いました。全部の曲を覚えている訳ではないのでこの後は断片的な紹介しかできませんが、概してライブ向きではない曲をわざと選んでこんな曲だってできるんだぞ、と言っているようにも聞えました。

途中のMCの部分は大変印象的でしたので、ここで長くなりますが再現してみましょう。先ずミラー・ボールの輝く中、カシブチ君(チェックのジャケットを着て登場。女の子から黄色い歓声が上がっていました。)が「ガールハント」を朗々と歌い上げると慶一君はちゃっかりドラムの席につき、軽快なバチさばきを見せてくれました。その曲が終ったのを受けて、カチブチ君の控え目トークからMCはメンバー全員に一言いただくという構成でした。カシブチ君は12月のソロ・ライブの情報を伝えるメモを読む際、メモをちょっと遠ざけて読もうとして失笑を買っていました。2番目は岡田先生。「カシブチ君がミラーボールで歌ってうらやましたったので、僕も次のリキッドルームでは歌ってもいいかな」と言って会場を笑わせていました。

続いて振られたのはフーちゃんこと博文氏。飄々とした語り口がこの人の魅力なのですが、つい最近、家に訪ねてきた人がいて、おふくろさんと一緒に写真を撮っていったというエピソードを紹介してくれました。そしてそういうことは、やらないように、というニュアンスを匂わせておいて、どんどんやってください、と落すあたりはなかなかの話術だと感じました。その後は待ってました、宴会部長の良明さん。物販担当です、と前置きしてアルバムの宣伝をしていました。買ってくれた人にはおまけで何をやろうかな?消しゴムとか下敷きとかと振っておいて、会場から「ストラップ!」という声がかかると、「ああ、これね」と言って自分のギターのストラップを指差して会場から「ケイタイの!」と教えてもらっているところが可愛いかったです。それを受けてクジラ君が「ケイタイにギターのストラップもいいよね」と言ってこれまた大受けしていました。その武川氏、髪の毛を短く切ったとか。そしたら知らないおばさんから「(ジャイアンツの)松井みたい」と言われムッとしたと言ってこちらも大爆笑を得ていました。最後にそのクジラくんの話しを受けて慶一君が「武川さんにしては珍しく面白い話しでしたね」とコメントしていました。

そういったほのぼのトークがあって一気に演奏へなだれ込むのですが、例えば「はい!はい!はい!はい!」の最後にはビートルズの「Within You Without You」の一節を盛り込んだり、「ガールハント」の冒頭には「ロリータ・ヤ・ヤ」を挿入したり、いたるところに仕掛けのある演奏でした。流石日本一のライブ・バンドと呼んではばからない技量を感じてしまいました。その後、これまた慶一君がタイトルを忘れてしまう程の長いタイトルの曲、「月曜の朝には終るとるにたりない夢」をやったり、私の好きな『マニラ・マニエラ』からは<I can't live without rose>の歌詞で有名な「Kのトランク」を印象的な演奏で料理してくれたり、やっぱりこの日もメロメロになっている自分に後から気付きました。

個人的には「スカーレットの誓い」や「Frou Frou」「BEATITUDE」等をやってほしかったなと思いましたが、最後のアンコールでは「青空のマリー」と「火の玉ボーイ」を得意のアレンジで披露してくれ大満足でした。特にこの日の「火の玉ボーイ」における慶一氏の歌いっぶりは見事だったと思っています。総じて45才以上のおじさんバンドには決して見えないパワーといつも新しいことへ挑戦する心意気を感じてしまいました。『裏月面讃歌』の発売も待たれる今日この頃ですが、私にとってはいつまでも現役を張っていてほしい最右翼のバンドがこのムーンライダーズなのです。



インデックス・ページへ戻る。