蔡李佛拳は、広東省および香港や東南アジア、欧米で盛んに行われている。広東省の南拳のうち主なものは五
大名家・十三名拳と呼ばれ、蔡李佛拳は十三名拳の一つである。数えられている。もっとも十三名拳の一つと言
っても、人気の上では他派を凌駕するものがあり、洪家拳とともに広東省の南拳を代表する門派である。 広東省新会県崖西京梅州人である陳享によって1836年(清朝道光15年)に創立された。陳享は1806 年に生まれ、7歳のときより叔父である陳遠護に師事して、佛家拳を学ぶ。その後、李友山に師事、北派少林拳 の腿法を習得。さらに蔡福禅師に師事して、羅浮山にこもり多年にわたり仏教と武術の修業をする。その後下山 して三家をまとめて蔡李佛拳を創始した。蔡李佛拳の名前は、人によって説明の仕方が違うが、蔡福禅師の「蔡」、 李友山の「李」に、三人の師が少林寺出身であったため、仏門への敬意を表すために「佛」をつけたという説明 の仕方がもっとも一般的である。 蔡李佛拳には鴻勝館蔡李佛拳と北勝館蔡李佛拳の2つの分派がある。鴻勝館蔡李佛拳は、陳享の入室弟子の一 人である張炎が確立したものである。北勝館蔡李佛拳は、張炎の孫弟子である譚三が創始したものである。 蔡李佛拳は、歩型は低く、スイングやロングストレートなどの長橋手を比較的多く用いるので、長橋大馬系の 門派であるとされている。北勝館蔡李佛拳では特にその傾向が強い。鴻勝館蔡李佛拳は短打も多く用いる。また 北勝館蔡李佛拳も鴻勝館蔡李佛拳もともに北派の流れも汲んでいるので、二起脚や旋風脚などの腿法も、洪家拳 や白眉拳など他の南拳に比べて多いのが特徴である。 |