最近考えていること

公開日:2008年6月8日

■「光州5・18」を観てきました

光州5・18 光州事件を題材にした映画「光州5・18」を観てきました。 この映画は、1980年5月18日に韓国・光州で起こった、民主化を要求する学生に市民が合流し、それを鎮圧する戒厳軍との戦いを映画化したものです。


光州事件をご存知ない方のためのおさらい。
前日の5月17日に全斗煥国軍保安司令官(当時)が、クーデターによって権力を掌握し、韓国全土に非常戒厳令を発布し、各大学に軍隊を派遣し、学生デモを封じ込めようとしました。

翌、5月18日に、光州市にある全南大学に集まって来た学生がデモを開始し、それに市民が合流して大きくなり、戒厳軍が鎮圧に出て、光州事件の悲劇へとつながっていきました。


光州事件が起きた当時、私は高校生で、すでにそのときは韓国に興味を持っていたのですが、新聞やテレビでの報道でのみ入ってきた情報しか接することができませんでした。
今回、この映画を見て、国軍が自国民に対してあれほどのことを本当にすることが出来たのだろうかと、改めて驚きました。
「この8年後にソウルオリンピックが開かれたのかぁ」「28年前の韓国って、そんなだったのかなぁ」と・・・

知り合いの韓国人の牧師様がいます。当時、ソウルの大学生だったそうで、ニュースを聞いて、本当にこんなことが起きているのかと光州に行ってみたところ、間違って捕まってしまい、一ヶ月後に丸坊主頭になって帰ってきたそうです。
今考えると、坊主頭になっただけで無事に帰って来れただけでも幸運だったのかも知れません。

学生・市民側も、鎮圧する側の国軍の兵士のほうも、双方のやりきれなさが残る残酷な事件だったとしかいいようがありません。


この映画にひとつ注文をつけるとすると、光州事件のあらましを知っているのが前提になっているので、おさらいに書いたような前後関係の説明が不足しています。韓国の現代史に詳しくない人だと、

・なぜ空挺部隊が大学に投入されたのか
・全斗煥将軍が政権を握った当時の韓国の空気

が分からないので、光州市だけで何かデモが起きていたかのような誤解を与える可能性があるかなぁと思いました。

さて、私もちょっと涙を流しましたが、一緒に行った奥様は、泣きっぱなしで、映画が終わった後は、目が真っ赤になっていました。

韓流ブームもいいですが、30代以上の韓国人であれば、既知のこととして身についているこういったことを知っておかないと、本当の韓国を知る…ということにはならないのかなぁと思います。
公開期間ももうすぐ終わりますし、上映場所も少ないですが、機会があれば見に行ってください。

おまけ

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