最近考えていること

公開日:2003年1月13日

■ 「夜を賭けて」を観てきました

夜を賭けて

「夜を賭けて」を観てきました。
内容は、1958年の大阪。大阪造兵廠(兵器工場)跡と川を挟んで位置する場所に、在日朝鮮人の集落があり、鉄屑が高値で売れることが判るや、夜な夜な、警備の目をかいくぐり、造兵廠跡に忍びこんで鉄屑を運び出しては売り払い、日々の糧にする在日朝鮮人の人々がいた...

原作は、梁石日の長編小説で、直木賞候補にもなったものです。
原作を読まず、誘われるまま映画を見に行きました。
見に行く前は、日本社会での差別に苦しむ在日朝鮮人の苦闘を描いた文藝作品の映画なのかな?と思っていました。
時代背景・登場人物・ストーリー設定が、朝鮮戦争が終わったばかりで、あっちこっちに戦後の焼け跡が色濃く残っている大阪を舞台にし、また、国有資産として立ち入りが禁止されている造兵廠跡から、警察の追求を逃れながら、鉄屑を盗み出して売り払うための行動が、「抑圧され呻吟する在日朝鮮人の闘い」と考えてしまったからかも知れません。

が、実際に映画を観たら、それらは物語の重要な要素ではあるのですが、メインは、山本太郎演じる主人公を中心に、「生きていくこと」に頑張っている人々の姿それ自体が、コミカルに、また、力強く描かれていて、観終わった後、「あぁ、面白かった。生きることっていうのは、色々あるけど、一生懸命、たくましくやっていかないとならないな」と思わせてくれました。

主役を演じた山本太郎という役者ですが、その昔、某バラエティー番組でデビューして以来、結構、気にしていたのですが、ここ最近、いい役者になったなと思います。
今回の映画でも、役にぴったりとはまった感があり、それがまた、映画を面白くしていました。

さて、この映画ですが、韓国の群山市にオープンセットを作り、約40年前の集落を再現して、約4ヶ月間を合宿生活状態で撮影したものです。
それだけでも、スクリーンから熱気が伝わってくるのですが、それに加えて、在日の人達のたくましく生きる姿を見ていると、会社で嫌なことがあったり、日々の仕事に疲れたなどといっていることが、恥ずかしく思えて、明日から頑張ってみよう!と力を与えてくれる、そんな作品でした。

難しい理屈は抜きにして、観て面白い映画でした。
機会があれば、是非、ご覧になってください。

おまけ

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