最近考えていること

公開日:1997年5月4日

■ アメリカで日本語がうまくなる

韓国生まれで韓国育ち、日本を旅行したことはあるが、住んだことはないという韓国人のNという友達がいます。
このN、日本語がぺらぺらなのです。私が知り合った韓国人の中でもベスト5にランクインするほどの実力です。
皆さんもご存知のことと思いますが、どんなに日本語がうまくても、韓国人が話す日本語というのは、独特なものがあり、「後天的に習得した外国語」の術縛から逃れることが出来ません。
しかし、このNが話す日本語は、韓国人独特の日本語ではないのです。

どうやって、日本語を習得したのか聞いたことがありました。
すると、子供の頃、釜山で受信した日本のテレビ番組をソウルに送ってもらい見ていたというのです。そして、日本に興味を持ち、大学は、日語日文学科に入って日本語の勉強を本格的にやっている、とのことでした。
どう考えても、それだけで上達するわけがありませんから、かなり努力をしたのだと思います。

このN、大学院に在籍していた頃までは、当然と言えば当然なのですが、日本語の実力が落ちるということはありませんでした。
しかし、軍隊に行って、大学院に戻り卒業し、就職をした頃から、段々と日本語の力が落ちていくのが、如実に判るようになってしまいました。
学生時代のように、日本語を使って勉強をするわけでもなく、仕事で日本語を使うわけでもなくということで、普段、日本語を使う機会が激減してしまったためです。
N本人自身も、このままでは「ヤバイ」と危機感があり、日本に留学しようかななどと言ってもいました。

が、結局、お父さんの判断で、仕事を辞めて、アメリカに英語を勉強しに行くこととなりました。(96年の年末に韓国を発ちました。)
場所は、親戚が住んでいるニュージャージー州です。そこにある、外国人向けの英語学校に入ることとなりました。
その学校は、ニューヨークにも近いこともあってか、日本人や韓国人が大勢いる学校です。
で、月に一度くらい「元気にしてるか?」といった感じで電話をしているのですが、その度に、Nの日本語がどんどん上達しているのです。
あまりに不思議で、「なんで、最近、日本語が上達しているんだ?自分でも、自分の日本語が上達しているのが判るだろう?」と尋ねてみたのです。
すると、学校で付き合っているのは日本人ばかりだと言うのです。
授業が終わった後に、集まって話しをしたり、食事をしたりする相手が、日本人ばかりなのです。
毎日、生きた日本語を使う機会があるのですから、日本語が上達しないわけがありません。

なぜ、韓国人とは付き合わないのか聞いてみると、その学校にいる韓国人というのは、

「企業から派遣されて勉強しているもの」

「学校を卒業してすぐに留学したもの」

のどちらかであり、自分のように30才位の者は、そのどちらにも入りづらいからだとのことでした。

確かに、韓国社会は、一つでも歳が違えば、上下関係に厳しい面が、日本よりも多くあることは事実ですが、場所が外国であっても(外国だからこそかな?)歳の差というものが、ある種の基準として厳然として存在するものなんだなぁと感じました。

で、このN、日本人が行くスーパー(紀ノ国屋)にいっては、ソウルでは入手が面倒な日本のものが手に入ると、喜んでいます。(冷蔵庫の中は、日本の物ばかりだと言っていました。)
う〜ん、もしかしたら、このNが、日本人とばかり付き合っているのは、歳の差が理由ではなく、単にこいつが変わった韓国人だからなのかな?とも思う時があります。

おまけ

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