韓国語のまわりで

公開日:2000年5月4日

■ あじょっち〜

日本語で「おじさん」に相当する韓国語は「アジョッシ」といいます。
この「アジョッシ」という言葉は、中年男性を指すのに主に使われます。
(ただし、日本語の「おじさん」には、親戚の「叔父」という意味も含まれますが、韓国語の「アジョッシ」には親戚の叔父さんという意味は含まれていません。)

さて、十年くらいの昔、ソウルの南山の麓の住宅街を歩いていた時の話です。
坂道を下っていると、坂の下から三歳くらいの男の子が歩いて来ました。
すると、私の後ろの方からミニトラックが私の横を通りぬけて少し過ぎたところで停まりました。
その車から作業服を着たおじさんが降りてきたのですが、坂を上ってきた男の子が、そのおじさんの姿を見るや「あじょっち〜」と叫んで、ニコニコして駆け寄ってきました。
その男の子の知り合いのおじさんらしく、タタタターとおじさんのほうに走り寄ってきます。
おじさんのほうも、その男の子が近寄ってくるや、ニコニコして「おお、よしよし」とうれしそうです。
で、私はその光景を見ながら「ん?」と思いました。

その男の子が「アジョッシ」ではなく「アジョッチ」と発音していたからです。
「アジョッシ」のッシは、濃音(無気音)での発音であり、この音は日本人が韓国語の学習を始める際の難関となるものです。
日本語でも三歳くらいの子供だと発音し難い音が存在しているのと同じで、韓国語でも幼い子供にとっては、「アジョッシ」と言えなくて「アジョッチ」となるのかぁと妙に感心したのでした。

韓国語の初学者にとって、濃音(無気音)の習得は大きな関門になるのですが、韓国人でも生まれつき出来るものではないんだなぁと、「あじょっち〜」を聞いて小さな発見が出来ました。

おまけ

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