韓国語のまわりで

公開日:1998年4月8日

■ たくさん、待ちましたね

日本に住んだ経験がある韓国人や、異常なまでに日本語が上達した韓国人ではなく、仕事のためだとか、日本語が出来たほうが有利だろうというような動機で日本語の勉強を始めて、中級レベルに達した韓国人が、ついやってしまう表現に「たくさん、待ちましたね」というものがあります。
この表現が、どのような場面で使われるかといいますと、例えば、待ち合わせの時間などに遅れてしまった場合、遅れて来た方が「遅れてすまん!」という時などにです。
日本語であれば、待たせてすまん!というところなのですが、韓国語なまりの日本語で「たくさん、待ちましたね」と言うのです。
(韓国語をご存知の方であれば、お判りのことと思いますが、韓国語では、まさに「たくさん待ちましたね」という表現をするのです。)

日本語が中級レベルの韓国人には、日本語と韓国語のこのあたりの区別がつかず、直訳で言ってしまうため、こんな表現になってしまうわけなのです。
韓国語で言われるとなんともないのですが、へたな日本語でこれを言われてしまうと「待ちましたねじゃねーだろ、お前が待たせたんだろ、っええ」という気持ちが心のどこかに顔を出してしまいます。

もちろん、韓国人であっても、「ごめん、ごめん」と謝りながら走ってやってくる人もいますので、全ての韓国人が、そうであるというわけではありません。

で、逆の立場になって考えてみると、私自身も同じようなことをしているかもしれないなぁと考えたり、反省したりすることがあります。
友達のおかあさんと話をする時などは、頭の中で友達や買い物などで使う韓国語で考えながら、同時に韓国語の敬語を思い出しつつ、話をするはめになります。
韓国語の実力の無さ、己の力不足を再確認するいい機会になるのですが、「この言い回しでいいのだろうか?」「この語尾で合っているのか?」などと、どきどきしながら話をすると、「たくさん、待ちましたね」と同じようなミスをしていないかと反省をしてしまいます。

救いは、私の韓国語に失礼な部分があっても、それは、韓国語の実力不足によるものであり、意図的にしているものではないとの理解があることです。
しかし、いつまでもその好意に甘えてはいられないなぁと、もう一段、上に登る事が出来るよう努力せねばならんなと思う、今日この頃です。

おまけ

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