韓国語のまわりで

公開日:1997年6月25日

■ 前の皿

5月にソウルに行った時の話しです。
日本人二人、韓国人一人という組み合わせで、明洞で食事をすることになりました。
その韓国人の友達は、日本の大学を一般受験し、4年間で学部を卒業し、現在はソウルに戻り働いているという経歴の持ち主なので、日本語はぺらぺらです。

せっかくなので、日本人が来ないようなとこで、韓国らしいものを食べようということになり、ちょっと、こきたない食堂に入りました。
注文は、その友達に任せ、ビールを飲みながら三人で話しをしていると、頼んだものが運ばれて来ました。
気がきいているところなら、お小皿というか取皿も一緒に持ってくるところなのですが、お約束通り持って来てくれません。
まぁ、三人とも韓国人モードになっていますので、普通は取皿など無くても平気なのですが、頼んだものが熱いものなので、取皿がないと食べにくいという事情がありました。

取皿を持って来てもらおうということになって、店のおばちゃんを呼ぶと、その友達は、そのおばちゃんに「アップチョップッシ、カッタジュセヨ」と言うのです。
最初、なんと言ったのか聞き取れず、「今、何て言ったの?」と訊ねると、
「前の皿を持って来て下さい、と言ったんだ」と言うのです。

「前の皿??どういう意味??」
「あぁ、小さな皿を持って来て下さい、と言っても構わないのだが、説明するのが面倒なので。」
「韓国語では取皿のことを、”前の皿”って言うの??」
「自分の目の前にある皿だから、前の皿で分かるんですよ」
「ふ〜ん、前の皿ねぇ...」
「こういうところでは、それで通じます」
「なるほどねぇ」

初めて聞いた表現だったことと、目の前にある(べき)取皿なので、「前の皿」という直接的な感覚が面白く、ちょっと感動を覚えました。

で、この手の言い回しを仕入れると、自分で使って見たくなるのですが、今日まで使う機会がありません。誰か、韓国に行った時に使って見て下さい。

おまけ

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