雑誌「PROJECTORS」
'98パソコンプロジェクター大全の補足記事
記事補足(2)。
次の原稿は掲載用ページがなくなったため省かれていたものです。液晶プロジェクターを選択する上で参考になると思いますので、ここに掲載しました。
●プロジェクター、いまここを問題提起する、追加分
・色の美しさ
もちろん色は美しさが命である。ハッと目を見張る美しさ、それは色が伴ってこそ感動させるもの。液晶式プロジェクターの問題点はここにもある。液晶式はフィルムを透過させて色を出すような仕組みだから、基本的な色純度は高いはずである。CRT式のように蛍光体に依存することがないのもいい。
しかし、皮肉なのは透過式にしても反射式にしても、明るさ、すなわち色の源はランプなのだ。つまり色純度は使用するランプの光のスペクトラムにかかっている。
いまもっとも多く使われているメタルハライドランプにしても、クセノンランプにしてもそれぞれ特徴的な光スペクトラムを備えている。そしてメタハラランプは一種の水銀灯に近いから、緑成分が強い特徴を備える。対するクセノンランプはブロードなスペクトラムなので色再現的には良いが、効率、コスト面で不利となることが多い。
ということで、液晶式プロジェクターはもっともっとランプ性能を高める必要がある。これこそ世界のランプメーカーに課せられた大きな課題だし、改善の余地が大きいところでもある。
・レンズ性能
レンズは性能面に影響を与える隠れたパーツだ。簡単に言えば、普及価格モデルと高性能モデルで何が異なるか、それはレンズ性能といっても良い。特にプロジェクターはズームレンズを標準とする傾向が強いから、性能と価格面の両立化が非常に難しい。
それはデータ表示用モデルで満足できるものは非常に少ないのが現状だ。むしろ固定焦点レンズを採用している映像表示用の普及モデルの方が良いくらいである。
レンズ性能は画面の四隅をチェックすることで判別できる。テレビでもそうだが、持てる性能とコスト面を判断するには四隅の出来を見れば分かるもの。色ずれなくきっちりできているものはコストに苦労しながらもていねいに作っていることを表している。
特に3板式ではこの性能差性がもろに出やすい。パネル配置や調整にもよるが、左と右では色ズレする色が異なり、またはみ出す大きさも異なることが多い。
データ表示では特に左上をよく使うし、さらに細かな文字、図形を表示するからレンズ性能にも注意したい。液晶式になってフォーカスのあいまいさから逃れられたが、周辺フォーカスや色ズレは思わぬ伏兵としてレンズがクローズアップされるのだ。
・ランプの寿命
プロジェクターが投射式ならばランプを使用するのは当然だろう。そうなると寿命や交換が手間となる。特にメタハラランプなどちょっとそこの電器屋さんで買えるというものではないから、サービス体制も営業面に影響する。
ランプは交換用をセットするのが望ましく、できれば最低5000時間はもって欲しい。この目安は、一日2時間使用して、最低8年ほど使用できることにある。要は忘れたころにランプが切れるのが望ましい。
そして忘れてならないのが、初期性能を限りなく維持できること。機械ものにありがちな初期劣化を抑え、その初期劣化もガクンと急激でなく、まず当たりが付くまでほんのちょっと落ちる、後はそれを切れるまで維持する、これが望ましい。
蛍光灯でもそうだが、毎日使っていると暗くなっても気が付かないものなのだが、これに期待することなく、ランプメーカーは性能改善の努力を怠ってはならない。
・ファンの音
プロジェクターの課題には騒音の解消も残されている。業務用だからという言い逃れは長くは続かない。特にコンパクトになってきた液晶式データプロジェクターは、テーブルの上で使われることが多い。つまり耳元にプロジェクターが置かれるのだ。
だから発熱は少ないにこしたことはないし、投射用ランプはワット数の少ないものがいい。そうすることで空冷用ファンが不要になる。また必要でもゆっくり回せば済むであろう。
全く無音というのは無理にしても、会議中に邪魔にならない大きさに抑えるべきだ。目安は現状の半分、約30ホーン程度だろうか。本体がコンパクト化するため大型ファンにするのは難しいだろうが、回転数を抑えるには大型化がよいこと。
・排気温度
空冷ファンのついでに述べれば、排気温度にも注意を払いたい。本来、室内を暖めるのは好まれないが、その前に排気口の温度に関心を持ちたい。
コンパクトなモデルには十分な保熱能力がないために、排気口にかなり熱い風を出すものがあるが、耳元で使われることを考えたら排気温度も当たって熱く感じない程度に下げておくべきだ。
指標はお風呂の温度、つまり40度C以下にしておきたい。これを越えていると柔肌の人は低温やけどする可能性がある。PL法が存在するで無視できない項目でもある。
記事補足(1)。
これは誌面の測定データ表には示されていませんが、あらかじめ測定値を把握していたものです。今回に公表しようと考えたのは、写真ではこの値を読みづらいと言う意見をいただいたからです。編集部として、モノスコ写真である程度見ることができると踏んだのですが、写真が小さいこともあってそれができなかったようです。そこでより具体的な数値でという要望に応え、測定値を公表することにしました。
なお、この値はモノスコ画面を投射しておき、それを一テスターが読みとった値です。結果は次のようです。
日立 CP-L850 650本
エプソン ELP-7000 600本
ソニー VPL-S800J 400本
NEC VL-S810 400本
IMPRESSION A6 700本
サンヨー LP-XG70 700本
東芝 TLP511J 550本
パナソニック TH-L592J 500本
ビクター LX-D500 600本
横河プレシジョン D-700 400本
富士通ゼネラル LPF-3001 500本
フィリップス PS4600 500本
ハイビーム EX1 600本
なお、この測定値は機器性能に基づいていますが、これが画質に直接関わるかどうかは即断しかねるところです。それは特性の作り込みでカバーされる要素を含むからです。
雑誌「PROJECTORS」'98パソコンプロジェクター大全の記事訂正。
一部記事に間違いがありましたので、次のように訂正致します。読者並びに関係者にご迷惑をお掛けしたことをお詫びいたします。
・104ページ:バルコ製品紹介記事。DATA3100の価格を¥4,100,000に、また上記SXGA(簡易)対応を表示を省き、XGA(簡易)対応に、修正します。
・106ページ:NEC製品紹介記事。型番をVL-X1000に、また価格を1,200,000に修正します。
・188ページ:(株)エレクトリの住所表記を、千島区要町を豊島区要町に修正します。
PJ総合研究所・PJ編集部
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